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2016年05月16日 更新

500体の彫像を海底に沈ませるイギリス人、その理由が深かった

500体以上もの彫像が沈んだ「海中ミュージアム」をご存知でしょうか。

メキシコ カンクン 海中ミュージアム 画像

出典:10 mysterious statues you can only see underwater

この美術館、カンクン(メキシコ)&グレナダ(カリブ海)&ランサローテ(スペイン)の海底に位置しています。
(スペインの海中ミュージアムは大西洋初となる海中植物園をつくる取り組みが現在も進行中。)

制作者であるイギリス出身の「ジェイソン・デカイレス・テイラー」(Jason deCaires Taylor)さんは、美術学校彫刻科で学士号を取得した一方でスキューバダイビングのインストラクターとしても活動する彫刻家。

両面での経験を結び合わせ、このミステリアスな海中ミュージアムをつくりあげています。

300 メキシコ 海中ミュージアム

出典:oddcities

海中ミュージアム

出典:oddcities

ジェイソンさんが美術館をつくる理由

2009年にメキシコに移ったジェイソンさんは、地元の漁師の彫刻をつくはじめ、それが小さなコミュニティを形成する数になり、やがて海洋保護を訴えたデモ隊のような数になり、そしていまや500体の人物象が海中に沈んだ海中美術館にまで発展しました。

デモ隊

出典:Jason deCaires Taylor

ジェイソンさんには、アートを海に持ち込むことで、海が繊細で、貴重で保護に値する見方を人々に提示したいとの想いがあります。

美術館との名前をつけた理由も、美術館は保全され、教育される場所という認識が人々にあるからと説明。


海の生態を守る美術館

もともとサンゴや海の生態を守る目的でつくられたこのプロジェクト。

耐久性のある中性のセメントを使用することで像の足場を確保し、サンゴが付着しやすい表面にし、たくさんの魚が集まりやすいように設計しているなど、あらゆる像が生命に優しいデザインになっています。

このフォルクスワーゲン ビートルには、ロブスターやウニなどの甲殻類が住んでいるそう。

ビートル フォルクスワーゲン

出典:TED 「生命で輝きを増す海中美術館」

海の一部となった彫刻たちは、サンゴや甲殻類といった生物の住みかに生まれ変わり、時が経過するにつれて作品も変化していきます。

ジェイソンさんは次のようにコメント。

海は芸術家にとって願ってもない最高の展示場所。


刻々と変わる照明効果のもと飛び散った砂が魅惑の雲となり、


彫刻を取り巻き、時を超越したその場だけの美が紡がれ好奇心に満ちた人たちが訪れます。

海中ミュージアム サンゴ

出典:Jason deCaires Taylor

世相を表す作品の数々

ジェイソン・デカイレス・テイラーさんの作品には現代社会を映し出すテーマ性があります。


セルフィー

シリアの難破船の被害

地球温暖化を訴える

イギリス ロンドン 海中ミュージアム

出典:Jason deCaires Taylor

海中ミュージアム メキシコ

出典:Jason deCaires Taylor

メキシコ 海底

出典:Jason deCaires Taylor

海中ミュージアム 社会

出典:Jason deCaires Taylor

最もシェアされている彫像

最もシェアされている

出典:Jason deCaires Taylor

この画像は、最も検索され、最もシェアされた一枚。
死に瀕した岩礁、危機に直面した海を表しているのかもしれません。


海中ミュージアムの作品は政府を動かす

バハマにある高さ5メートル、重さ40トンの「海のアトラス神」を見た人は、近くの石油精製所からの流出問題を取り上げ、メディアからの圧力で地元政府は1千万ドルを海岸の浄化活動に投資すると発表したそう。

バハマ 海のアトラス神

出典:Jason deCaires Taylor

カリブ海・グレナダの美術館も、政府が海洋保護区域に制定した契機となりました。

彫像の一群を美術館と呼べば、皆がそれを保護するようになる。

そして、それが環境や自然破壊を考える時に、海のことも一緒に考えるきっかけになっていく。

ジェイソンさんの願いは作品を通じて、人の心だけでなく、行動も動かしています。

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