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2017年08月22日 更新

新入社員の悩み「入社前に聞いた内容と違う」に答えるラブホスタッフ上野さんが…す、すげえ

新入社員の悩みと秀逸すぎる返答。

特定の人に匿名で質問できるASKfmというサービスに投稿された質問の一部始終です。

パソコンのイラスト

出典:NosUA / iStock. by Getty Images

新入社員が寄せた質問

4/1に入社した新入社員です。

入社前に聞いていた仕事内容と異なる仕事をすることになりました(これからやれる見込みもないです)

同じような思いをして辞めていった社員がここ数年で何人もいるそうです(いわゆるブラック企業でしょうか…?)

私自身、この仕事ができなければ大学で学んだことを活かすことができないのですでに転職も考えていますが、やりたい仕事のために遠い地へ引っ越してきたので今後どうしようか迷っています。

秀逸なアンサー

ラブホテル

出典:PIXTA

これに答えたのは自称ラブホスタッフの上野さん。

「フィルム」と「数学」のエピソードを交え、華麗なアンサーを提示しています。

御質問誠に有難う御座います。

アスタリフトという化粧品をご存知でしょうか?

もしかしたらご存知ないかも知れませんが、アスタリフトとは元々フィルムメーカーだった「富士フイルム」が発売している化粧品ブランドで御座います。

最近はめっきり聞かなくなりましたが、富士フイルムと言えば「お正月を写そう」などのキャッチコピーで知られた日本最大のフイルムメーカーで御座います。

フィルムというと馴染みのない方もいらっしゃるでしょう。

勿論私と同年代以上の方からすれば、馴染みもあるかと思いますが、携帯カメラやデジタルカメラが普及する前には、フィルムをわざわざ現像屋さんに持って行って現像して貰わないと写真を見ることが出来ないという時代があったのです。

フィルムカメラに馴染みのない方からすると「昔は不便だな」というような印象を抱くかも知れませんが、つい10年前、2004年まではフィルムカメラの方が販売台数が多かったので、そんなに昔のことでも御座いません。

さて、今日でこそ、皆様気軽に何枚も写真を撮られますが、フィルムの頃は27枚取りフィルムが600円くらいしていたので、1枚あたり23円くらい掛かりました。

さらに現像する場合、27枚フィルムですと1200円くらいかかりましたので、1枚あたり44円くらい。

つまり合計で写真1枚70円くらい必要でした。

つい10年くらい前まで写真は「そこそこ値が張るもの」だったというのは、当時を知っている私でも信じ難いのですから、当時を知らないからからすると本当に信じられない話でしょう。

この「そこそこ値が張る写真」という産業で、事業を大いに拡大していたのが富士フイルムで御座います。

その頃の富士フイルムの事業というのは

1 フィルムを売る
2 現像屋さんに「フィルムを現像する器具」を売る(紙、現像機、現像液等)
3 おまけで医療用のカメラとか作る

というのが基本でした。

これだけで、と言っては富士フイルムに失礼ですが、基本的にはこれだけで何十年と何万人もの社員を担う大企業で有り続けた企業、それが富士フイルムで御座います。

さて、そんな富士フイルムですが、2000年頃から経営が不穏な雲行きになります。

お察しの通りデジタルカメラの台頭が原因です。

デジタルカメラが普及すると、まずフィルムが売れなくなります。

さらに「フィルムがダメなら現像を」と考えても、皆様自宅のプリンターで現像をするようになりました。

ならば「パソコン現像用の紙を」と考えても、殆どの方が現像しないでパソコンで見るようになりました。

つまり富士フイルムの事業の中核がほぼ完全にデジカメとパソコンに淘汰されてしまったのです。

事業の半分以上が完全に死滅。倒産しない方が不思議なレベルでの淘汰です。

そんな時に富士フイルムが行ったのが「化粧品事業」への進出で御座います。

幼い頃「富士フイルムが化粧品へ」というニュースを見た記憶があるのですが、私の記憶が正しければ世間の多くから「迷走」「暴挙」というよう冷ややかな反応でした。

「全く関係のない業種で成功するはずがない」

当たり前と言えば当たり前の話です。

ですが、富士フイルムにも全く勝算が無かったわけではありません。

その勝算とは「感光技術」です。

感光とは簡単に言ってしまえば「光に当たった時、物質がどう変化するか」ということなのですが、フィルム写真は、この感光で写真を写しているため、フィルムを作る富士フイルムには膨大な量の「感光技術」のノウハウが御座いました。

そしてこの感光技術は老化防止にも重要な「活性酸素」という物質の制御も含まれており、これが富士フイルムの勝算で御座います。(※その他、フィルム技術、現像におけるコラーゲン等々も富士フイルムの化粧品事業に多大な影響を与えましたが、ここでは割愛させて頂きます。)

つまり「化粧品のノウハウでは勝てないかもしれないが、活性酸素の制御のノウハウは資生堂にもカネボウにも負けない」ということで御座います。

結果として、この化粧品事業への参入や、写真フィルム技術を応用した液晶テレビのパーツ事業などの成果もあり、富士フイルムは「デジタルカメラ」という危機から脱することに成功致しました。

さて、前置きが長くなりましたが、御質問者様の質問にお答えさせて頂きたく思います。

まず、今ご質問者様が就職している会社がブラック企業かどうかということは一旦置いておきましょう。私には分かり兼ねますし、正直に言えばどうでもいい話です。

私が質問文を読んで一番問題に感じたのは「大学時代の勉強が活かせない」ということで御座います。

デジタルカメラが台頭して来た時、富士フイルムの社員はどのように考えていたと思いますか?

富士フイルムは何も咄嗟の思い付きで化粧品事業に手を出したのではありません。デジタルカメラが台頭する20年前くらいから、必死に生き残りを考えていたので御座います。

その時に考えたことは「今持っている技術を、どう活かせばいいのか?」ということ。

絶対に勘違いして頂きたくないのですが「化粧品事業に手を出したら、たまたま感光技術が役に立った!」というわけでは御座いません。

「今持っているものをどうしたら活かせるか」

私が何を言いたいかお分かり頂けますでしょうか?

今のご質問者様は「この企業だと大学時代の勉強が活かせない」のではありません。

もっとずっと単純で「俺は学んだことを活かせない人間だ」ということになります。

今の企業がご質問者様に合っているかどうかは分かり兼ねます。

ブラックかどうかも分かりません。

辞めたければ辞めれば良いでしょう。

ですが、恐らく今のご質問者様では「大学時代に学んだことと、ぴったりと合っているように見える会社」に入ろうとも、大学に学んだことは、きっと役に立てることが出来ないと思います。

何故ならば「今持っているものをどうしたら活かせるか」という意識が無いからで御座います。

余談になりますが、私は大学生の頃、家庭教師をしておりました。

数学が嫌いな生徒が多かったので、よく「こんなこと勉強して何の役に立つの?」と聞かれたのですが、その時に「いつかきっと役に立つよ」とだけは絶対に言いませんでした。

「数学」に限った話では御座いませんが、「役立てよう」と思わない人間に「役に立つ機会」は絶対に訪れないと考えているからで御座います。

なので「君が役立てようと思えば、武器になる。思わなければ何の役にも立たない」と答えていたのですが、よくあれでクビにならなかったと、今では笑い話という形で役に立たせております。

出典:ask.fm

「役立つかではなく、どう活かすか」

多くの人の共感を呼んだアンサー。

勇気を与え、新しい価値観を育てる言葉ですね。

メインで発信しているツイッターの文章でも、その丁寧な人柄は健在。

すごく丁寧なのに、ものすごく一直線に笑わせてくるツイートが多数。(手がける漫画は昨年に本郷奏多さん主演で実写ドラマ化されています)

年齢は20代とのこと。いったい何者なのでしょうか……。

※この記事は上野さんご本人の許可を得て掲載しています。ご協力ありがとうございました!

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