少子化の一番大きな影響は、未婚者の増加
それは未婚化や晩婚化・晩産化が進展しているからだといわれています。
その中でも、一番影響が大きいと見られているのは未婚者の増加。
特に50歳で一度も結婚したこと無い人の割合を表す「生涯未婚率」は、1970年代では男女とも2%程度でしたが、最近では男性20%以上、女性10%以上と急上昇しています。
出典:PIXTA
特に、男性においては「若い時は独身でもよいが、歳をとってから妻も子どももいないと孤立する」から始まる結婚理由は老けるごとに年々説得力を持ってきます。
ところが、最近は熟年離婚が増えており、定年退職と同時に離婚、子どもも父親の元を去り、一人寂しい老後を送る男性が増えている、というニュースが増えています。
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このような男性が増えている中、以前ツイッターでは読売新聞の人生案内に掲載された「熟年離婚」の問題がネット上で注目を集めました。
「結婚して子供を作らないと老後が寂しくなるよ」と助言してくる全ての人に読んでいただきたい記事。 pic.twitter.com/nJDgOZvtfz
— 深爪 (@fukazume_taro) 2016年6月3日
(相談)定年退職後に離婚、今後が不安
60代の男性。
昨春、娘の大学卒業と私の定年退職を機に離婚し、家を出ました。
夢も希望もなく、漠然とした不安を抱えてます。
妻や同居の義母とは仲が悪く、10年以上、口を利いていませんでした。
食事も一人、風呂やトイレ意外は自室を出ることもありませんでした。
(中略)
友人もおらず、平日の帰宅後や休日は、テレビを見てばかり。
寂しくつまらなくて、深夜にインターネットのエッチな画像を見てしまいます。
それだけが楽しみになってしまいました。このまま死んでいくのかと不安です。
出典:読売新聞 人生案内
このツイートは先ほど書いた結婚しなければならない理由である「老後が寂しい」という説を皮肉る内容。
たしかに、これだけを読むと「結婚しても結局、邪険に扱われるなら結婚しないほうがいいだろう」と思う方も多いでしょう。
返答欄にはどのような内容が記されたのでしょうか。
紹介された回答は「秀逸」であると反響を呼びました。
返答したのは作家の出久根達郎先生。
これまでも多くの身の上相談に意見し、人生の教科書とも呼べる回答を提示されています。
(返答)人生案内
あなたが小さい時から今日までのことを、思い出してください。
何を思い出すかというと、お世話になった人です。ノートの左側のページに、「お世話になった人」と記して、名前を書いてください。
どんなご恩を受けたか、思い出しつつ、具体的に書き込んでください。詳細であればあるほどよろしい。
いっぺんに思い出せないでしょうから、毎日、帰宅後に時間を取って続けるといいでしょう。
昔のことを回顧するのが楽しみになれば、この作業は半分成功したようなものです。
作業になれてきたら、右側のページに、今度は面倒を見てやった人のことを書き込んでください。
ある程度書いたら、両方を読み返してください。
どちらの方が書き込みが多いか、比べてみます。
これだけで、自分のことがずいぶんとおわかりになるはず。
その先、どうするかは、自分で考えなくてはいけません。
出典:読売新聞 人生案内
果たして、整理を促した意図はなんだったのかーー。
おそらく、投書で相談を持ちかけた男性に「与えたことばかり覚えていて、してもらったことに感謝をしていない」と感じたのではないでしょうか。
「してやってる」という意識が強いばかりだったのではないかということです。
しかし、人間は「お世話する」と同時に「お世話される」ものです。
そこにあるのは、「結婚したのが悪い」ではなく「この男性が自分のことをよくわかってなかった」ということ。
結婚が良い悪いではなく、相談者の人生がどうであったかーー。
そこに気づけと正したかったのかもしれません。
結婚とは人生を他人と一つにすること。
そのためには、自分の人生をよく理解する必要があります。
その理解があまりにも浅い時、どのような相手であれ、たとえ離婚しなくとも寂しい老後を送るのではないでしょうか?
結婚が人を幸せにするのでなく、人が人を幸せにする。
それだけは肝に銘じておきたいものです。