メタボの基準とその測定法補

メタボという言葉は浸透していますが、ただ太っているだけでそのように表現することがあります。しかし、メタボは診断基準が明確に決められており、数値化したデータで判断できることから誰でも客観的にとらえることができます。腸の周りに内臓脂肪が蓄積することが主な原因とされており、その状態に血圧や血糖値、血清脂質に異常が認められることでメタボと診断されます。体にさまざまな影響を与えるメタボを防ぐためには、まずメタボの基準や測定方法について理解することが大切です。

メタボの基準とは

メタボに該当するかどうかを判断するには何を見ればいいのでしょうか。メタボリックシンドローム診断基準検討委員会によって策定された診断基準によると、腹囲の基準値との比較、そして血圧、血糖、血清脂質の3項目のうち2項目以上に異常が認められるとメタボと認定されます。肥満傾向があるだけではメタボとは言えず、腸の周りや腹腔内に蓄積される内臓脂肪がついていることが基準となるため腹囲を測定します。太ももやお尻などに脂肪がつく皮下脂肪型肥満とは区別して考えられています。

ウエスト周囲径が男性85㎝以上、女性90㎝以上


メタボは内臓脂肪型肥満であることが診断の基本となります。腸の周りなどに最も内臓脂肪がつきやすいため、ウエストの周囲径を測定することによって判断するのが普通です。脂肪がつきやすい女性は90cm以上、男性は85cm以上であるとメタボの大きな条件をクリアしてしまうことになります。腹部は測定する位置によって誤差が出やすいため、正しい姿勢で立ちへその位置を基準に1周させて測ります。呼吸によっても大きく変わるのでリラックスした姿勢で計測することが大切です。

血圧は収縮期、拡張期で判断

血圧測定では、上がいくつ、下がいくつという言い方をします。正確には収縮期の血圧が最高血圧、拡張期の血圧が最低血圧とされています。メタボ検診では、収縮期血圧が130mmHg以上、または、拡張期血圧が85mmHg以上であると高血圧とみなされ医師に指導されることになります。最近では自宅で簡単に血圧を測る器具が販売されているので、さまざまな条件下で血圧を測って数値の変化を記録しておくといいでしょう。血圧1日のなかでも数値に変化がみられるものです。リラックスした状態で測るようにしましょう。

血清脂質は高トリグリセライドと低HDLコレステロールで判断

腹囲が基準値を超えているだけではなく、血糖値や血圧、そして血清脂質のうち2つ以上が異常であるとされるとメタボと診断されます。トリグリセライドとは中性脂肪のことで150mg/dLを超えるか、HDLコレステロール値が40 mg/dL未満であることのどちらか一方、または両方に当てはまることがメタボの条件の1つとなります。また、血液中に溶けている脂質が異常に多い、少ない状態が認められると脂質異常症と診断されます。

メタボの検査内容

人間ドックなどを通じて医療機関でメタボを正式に診断したことがない人の多くは、腹囲だけでメタボが決まると誤解しています。腹囲の測定は、血管や血液、心臓などに大きな影響を与える内臓脂肪の蓄積の状態をみるものに過ぎません。そのほかに血圧測定や血液検査を実施することでメタボ予備軍、メタボと診断されることになります。それでは、主なメタボの検査内容にどんなものがあるのでしょうか。

腹囲とBMI

メタボは内蔵脂肪型肥満であることが大きな診断の材料となります。男性、女性の基準値を上回ることによってメタボに黄色信号が灯ることになります。ただ、腹囲だけの測定だと身長や体重が加味されないためBMIを併用する場合もあります。BMIは体重と身長の関係から肥満度をみるもので、体重÷身長÷身長で産出することができます。また、痩せていても内臓脂肪が多い場合はCTスキャンを使用することもあります。

血圧測定


収縮期、拡張期それぞれの血圧を測定し、メタボ診断の基準値と比較することによって診断します。最高血圧が高いだけでなく最低血圧も高いと高血圧がかなり深刻な状態と言えます。安静時の血圧が高い状態が続くと血管に大きな負担がかかるため、血液が流れにくくなったり血管内壁が傷つき硬化したりするなどの異常がみられるようになります。高血圧を放置すると動脈硬化が促進され、脳卒中や心疾患などのリスクが高くなります。

血糖値の測定


人間ドックなどで血液検査をする場合は、朝食を抜いた空腹な状態で実施します。この空腹時血糖値が110mg/dL以上あると高血糖としてメタボ診断の1つの目安となります。通常は食事を摂取したのちに血糖値が上がりますが、空腹時であっても血糖値が高い状態が続いていると糖尿病を疑う必要もあります。内蔵脂肪型肥満の方は糖尿病を発症する可能性が高く、そのほかにもさまざまな合併症にかかることもあるため注意が必要です。

中性脂肪の測定

トリグリセライドともいわれる中性脂肪も血液検査によって検査します。メタボの診断では、中性脂肪値だけでなくHDLコレステロール値の測定を合わせて行うのが一般的です。中性脂肪値が高くHDLコレステロール値が引くいと脂質異常症を疑う必要があり、そのままの状態を掘血すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの生命に関わる重篤な疾患にかかるリスクが高まります。動脈硬化が原因とされる心疾患、脳血管疾患は日本人の死因の3割を占めると言われています。

メタボにならないために日頃からできること

一度メタボと診断されると食事療法や運動療法などが不可欠となり、さまざまな制約のあるなかで毎日の生活を過ごさなければならなくなります。メタボをそのまま放置すると、心疾患や脳疾患などのリスクが高まりいつ命に関わる病気で倒れても不思議はないでしょう。薬物治療は対症療法にしかならないため、メタボを根本的に改善するしかありません。そうならないためにも、日頃からメタボを防止するためにできることを続けましょう。

ウエストを計測して自分が予備軍であるかどうかの確認を


メタボの検診では、腹囲が男性なら85cm、女性なら90cmが1つの基準となります。メタボは体内で複数の代謝異常が重なることで進行しますが、自覚症状はほとんどありません。自分では全く気がつかないうちに重篤な疾患にかかることもあります。血圧や腹囲を定期的に測定して記録を残し、数値の変化に気をつけるようにしましょう。検診でメタボ予備軍と診断された場合は、まだ大丈夫だと軽視しないで、食事や運動によって生活全般の改善を図ることが大切です。

食事は栄養バランスを考えて


現代人の食生活では、糖質や脂質を過剰に摂取する一方でビタミンやミネラル、食物繊維が不足がちであると言われています。糖質の摂り過ぎは言うまでもなく血圧や血糖値の上昇につながります。また、中性脂肪は加齢や代謝の低下により、そのほとんどが内臓脂肪として蓄積されます。ジャンクフードなどの栄養バランスがとれていない食事を続けることはメタボを深刻化させる一番の原因になります。カロリーだけでなく、栄養のバランスを考えて食べるようにしましょう。

飲酒や喫煙は適度に


アルコールは百薬の長として血管を拡張する働きとともにリラックス効果をもたらすため、適量摂取するには問題はありません。しかし、量が過ぎると肝臓に負担をかけるだけでなく血糖値をあげることにもつながります。また、アルコールによって食欲が増して脂っこいつまみを食べ過ぎるなどの影響もあるため注意が必要です。喫煙は百害あって一利なしと言われているように体にいい効果をもたらすことはありません。血管を収縮させて血流を阻害して血圧を上げるだけでなく、血管を詰まらせて動脈硬化を促進する働きがあります。

お腹がぽこっと出てきたら注意を

加齢とともに基礎代謝が低下するため、中高年になると特に肥満傾向が高くなります。肥満には、お尻や腰回り、太ももなどに脂肪がつく皮下脂肪型肥満と腸の周りや腹腔内などの内臓に脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満があります。メタボが心配となるのは内臓脂肪型肥満です。体が全体的に太っているわけでなくてもお腹だけがぽこっと出てくることがあります。一般的にリンゴ型肥満ともいわれているタイプですが、代謝の異常を起こしやすい肥満になるため注意が必要です。

まとめ

メタボと診断された本人はぽっこりとお腹が出ている、肥満気味である程度しか自分の体のことを理解することができません。それはメタボが一般的な疾患のように痛みや体の異常に表れにくいからです。しかし、血糖値や血圧、血清脂質に異常が認められた時点で体内の代謝異常が複数起こっていることになり、動脈硬化が進んでいつ心筋梗塞などの重篤な疾患で倒れてもおかしくない状態です。メタボは見た目だけでなく数値化したデータで判断することができます。日頃から検査で異常な数値が出ないように対策をすることが大切です。