エンタメ 社会

2017年11月21日 更新

「あなたはムーアに似てないわ!」米人気歌手が日本の笑いを無視した理由

新アルバム『デンジャラス・ウーマン』発売記念イベントのために来日中しているアメリカのシンガーソングライター・女優アリアナ・グランデさん。アルバム発売記念イベント「#Airフェス」は2,000席に対して9倍にも及ぶ1万8,000人が応募するなど日本でも人気の高さがうかがえます。

アリアナ・グランデ

出典:amazon.co.jp

彼女は大の親日家としても知られており、今回で7回目の来日になります。前回の来日は4月中旬。その時ゲスト出演したテレビ番組『スッキリ!!』(日本テレビ系)での一幕を覚えていますでしょうか?

司会の加藤浩次さんはハリセンボン近藤春菜さんを「マイケル・ムーア」と紹介。しかし、アリアナさんは表情を一切変えずに「いいえ、今日初めて会いました」と返事。

もう一度、説明すると「あなたは本当にマイケル・ムーアに似てないわ。私が約束する」とコメント。「マイケル・ムーア」のギャグが伝わらないと判断した加藤さんと近藤春菜さんは、次に「シュレックに似ている」と、再度アリアナさんに笑って貰おうと試みます。

しかし、アリアナさんは一切笑わずぎごちない空気に。

そして、「シュレックだと思いません、あなたはとてもかわいいです!」と言い、近藤春菜さんに手を差し伸べて握手。

持ちネタが不発の上、逆に励まされた近藤春菜さんは少し複雑な表情を浮かべ、次の話題に。

日本の多くの人が笑ってしまう近藤春菜さんのネタ。なぜ、アリアナさんに伝わらなかったのでしょうか?

ヘイトスピーチに厳しい国

アメリカはとても差別発言(ヘイトスピーチ)に対して厳しい国です。

日本でもヘイトスピーチ禁止法案が先日成立しましたが、アメリカはヘイトスピーチに日本と比べ物にならないほど敏感な国。

特に芸能人がヘイトスピーチを行ったとみなされ、炎上した例は枚挙に暇がありません。

例えば最近でも、日本でも有名なプロレスラー「ハルク・ホーガン」さんが2015年7月、8年前に黒人に対して「ニガー」(黒人の侮辱的呼び方)と発言したという理由でプロレス団体WWEを解雇されました。

この解雇に対しては日本では厳しすぎるという声も上がっています。

俳優のメル・ギブソンさんは2006年に警官に対して「ユダ公の野郎!」と暴言を吐き、ハリウッドから完全に干されていた時期がありました。このようにアメリカの芸能界はヘイトスピーチに対して非常に敏感なのです。

アメリカで根付く「ポリティカル・コレクトネス」(PC)

ポリティカル・コレクトネスとは「一切の差別・偏見のない表現」を行うこと。PCを守ることが当たり前のアメリカ芸能界にいる若いアリアナにとって「ブサイクを笑う」ことは理解不可能だったのでしょう。

日本には「ブサキャラ」「デブキャラ」で認知を拡げていき、他の芸人さんとの掛け合いで、お茶の間に笑いを提供する芸人さんがいます。しかし、アメリカでは社会的に糾弾される可能性も。

アメリカのPCはアメリカの文化で育ってきたもの。日本の文化とは相容れないこともあります。逆に、日本はどうすれば「健全な」笑いを維持できるか。ただ差別表現をなくせばいいのか。芸人だけでなく、視聴者である我々一人ひとりが考えていかければならない時代になりそうです。

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