メラニン色素の生成メカニズム
紫外線に当たってしまうとメラニンが作られるという、おおまかな情報であれば知っている人が多いでしょう。しかし、より詳しくメラニン色素がどうして・どのように作られているのかそのメカニズムを知っている人はそこまで多くないはずです。では、まずメラニン色素がどのようにして生成されていくのかそのメカニズムについてご紹介します。
メラノサイトがメラニン色素を作る
人の肌の中には、メラノサイトと呼ばれる細胞があります。その細胞からメラニン色素が作られていきます。そのメラノサイトは、メラニンを作れという指令が届けばメラニンの生成を始めるようになるので、その指令によってメラノサイトはメラニンを生成するようになるというのも覚えておくと良いでしょう。
紫外線があたるとエンドセリンを分泌
紫外線に肌が当たることによって、人の肌の中ではエンドセリンというものを分泌し始めます。このエンドセリンは、情報伝達物質の1つでありこの物質がメラノサイトにメラニンを生成しろという指令を与えます。そのため、このエンドセリンはメラニンの生成に大きな影響を与えているといっても過言ではありません。
チロシナーゼをメラニンに変化させる
肌の中では、メラニンを生成しろという伝令を受けてからチロシナーゼという酵素の1種を活性化させていきます。チロシナーゼは、参加することでチロシンというアミノ酸をメラニンに変化させていきます。それによって、肌の中ではメラニンが生成されていき、メラニンの影響を受けた細胞がターンオーバーによって肌の表面に押し出されていきます。
メラニン色素の特徴
メラニン色素と言葉は聞いたことがあっても、実際にメラニン色素の特徴まで知っている人はなかなかいません。見てみると、メラニン色素には多くの人が知らなかった特徴というのもいくつか存在しています。では、実際にメラニン色素にはどのような特徴があるのかについてご紹介していきましょう。
人種によってメラニン色素の量が異なる
人種によって、肌の色には大きな違いがあります。両極端な白人と黒人も、メラニンを生成するメラノサイトの数自体には違いがなく、同じ数を所有しています。しかし、同じ数のメラノサイトを持っていても、生成されるメラニンの量に違いが出てきます。基本的に、黒人の人は白人の人に比べて生成されるメラニンの量が多い傾向にあります。そのため、同じ人間であっても全く違う肌の色に分かれてしまうのはメラニンの影響によるものです。
二つの種類がある
メラニン色素と聞くと、黒いものを連想してしまいがちです。しかし、実は2つの種類が存在しています。1つ目のメラニンが、ユーメラニンと呼ばれる黒色から褐色のもので、もう1つが黄色から赤色のフェオメラニンと呼ばれるものです。日本人を含むアジアの人や、黒人の方というのははユーメラニンを多く持っており、ヨーロッパをはじめとする白人の人が多く持っているのがフェオメラニンです。
髪色とメラニン色素の関わりが深い
日本人の場合は、基本的に髪が黒~ほのかに茶色いくらいの人が多いです。それは、日本人が多く持っているユーメラニンの影響です。それに対して、ヨーロッパをはじめとする白人の人の中には生まれながらにして金色の髪をしているという人も多くいます。それは、黄色の色素であるフェオメラニンを多く持っていることが影響しており、メラニンと髪色は非常に深い関わりを持っています。
肌色とメラニン色素の関わりが深い
メラニン色素は、肌の色とも密接な関わりがあります。基本的に、肌の色が濃い人というのは表皮に多くのメラニンを持っているので、そのメラニンの色によって肌が黄色・赤褐色・黒色というような肌の色に見えます。それに対し、肌の白い人というのは表皮にあまりメラニンを持っていません。そのため、メラニンの色の影響を肌があまり受けずに白い肌に見えるという違いがあります。メラニンは、このように肌の色に大きな影響を与えていることが分かります。
メラニン色素の役割
メラニン色素は、シミを発生させたりすることによってあまりいいイメージを持たれている存在とは言いがたいものになっています。しかし、メラニン色素がシミの原因になってしまうのは事実ではありますが、だからといって悪い存在というわけではありません。メラニン色素には、いくつもの重要な働きがあるので、どのような働きを持つものなのかについてもしっかりと知っておきましょう。
紫外線から肌を守る
皮膚というのは、紫外線を浴びることによってダメージを受けます。表皮だけならまだ良いのですが、紫外線は皮膚の奥深くにある細胞にまでダメージを与えてしまうものです。細胞が傷ついたまま成長を続ければ最悪のケースの場合、皮膚がんの原因になってしまうということもあるので注意が必要です。なので、細胞が傷つけられるのをさけるために人の肌の中ではメラニンが作られます。メラニンというのは、皮膚を紫外線から守ってくれるという働きを持っています。
髪色をキープする
人の髪色というのは、メラニンが存在していることによって黒く健康的な髪色をキープすることが出来ています。なんらかの以上があって、メラニンが生成される量が減ってしまえば、髪にも影響が発生します。黒かった髪が白くなってしまったり、白髪の原因になってしまいます。髪色をキープするのにも髪色のもとになるメラニンは欠かすことができません。白髪を防ぎたいという場合は、髪のメラニンの量を維持するということが重要な課題になります。
皮膚トラブルを防ぐ
メラニン色素がもしなかったら、人の肌は紫外線のダメージによって炎症ややけどのような状態を起こしてしまいます。メラニン色素があれば、なんてことないことであっても、ちょっとの紫外線で水膨れを起こしてしまうということも考えられるため、メラニン色素があることで、起こってしまう可能性がある皮膚トラブルに関してもしっかりと防いでくれている心強い存在でもあります。
真皮に紫外線が届かないようにする
肌は、表皮と真皮に分かれていますが奥の方にある真皮にまで紫外線が届いてしまうと、真皮にあるコラーゲンやエラスチンなどに紫外線を浴びたことによって発生する活性酸素がダメージを与えてしまいます。その結果、真皮にまで深刻なダメージを与えて肌の見た目を大きく変えてしまうこともあります。メラニンというのは、そんな紫外線を肌の奥にある真皮にまで届かないようにガードしてくれる働きも持っています。
メラニン色素が増えたり減ったりするきっかけ
人の持っているメラニン色素の量というのは、常に同じ数であるとは限りません。さまざまな要因によって人の持っているメラニンの数が変化していきます。では、メラニンの数が増えたり減ったりするという変化ができるきっかけにはどのようなものがあるかご紹介します。メラニンを減らしたいときなどの参考にしてみてはいかがでしょうか。
食事のバランスが悪い
食事のバランスが悪くなると、さまざまな影響が身体に現れます。それは、メラニンの数にも影響を与えます。食事内容によっては、メラニンの生成を抑えられる栄養素を摂取することも可能です。それに加えて、肌のターンオーバーを正常に維持することによって、過去にメラニンの影響を受けた古い角質なども除去することができるので、メラニン色素が肌に溜まりすぎてしまうのを防ぎ、シミ予防にもなります。
飲む紫外線サプリを飲む
紫外線の影響を受けないためには、紫外線から肌を守る必要があります。一般的に肌を紫外線から守る場合、肌に日焼け止めを塗るなどの方法が一般的です。しかし、最近では、飲む紫外線サプリなども販売されています。塗るタイプの場合は、定期的に塗りなおしなどが必要になることもあります。しかし、サプリであれば飲むだけなので手間もなく簡単に紫外線を防ぎメラニンの量が増えてしまうのを防ぎます。日焼け止め以外の方法で紫外線対策をするという場合には、飲む紫外線サプリもあるということを覚えておくと良いでしょう。
体質が原因
メラニンは、体質も大きな影響を受けます。体質によっては、メラニンを必要以上に分泌してしまう人というのが存在します。特にその傾向が強いのは肌が白い人だと言われています。例を出すと、白人の人でシミやそばかすがあるという人を見たことが多いのではないでしょうか?それは、肌を守ろうとする働きによってメラニンを多く生成してしまうためです。特に、肌が白い人というのは紫外線の刺激などでメラニンを多く生成してしまうので注意が必要です。
スキンケアがきっかけ
メラニンの働き自体は、悪いものではありません。だからこそ、シミやそばかすにしないためには肌に長くため込まないということが大切です。肌にため込まないためには、しっかりとしたスキンケアが重要です。そのためには、しっかりと保湿をして肌の細胞を活性化させたり、角質ケアなどをして肌のターンオーバーを促進させましょう。それによって、肌の内部で作られたメラニンをため込んだままにしないということも可能になります。
まとめ
メラニンは、確かにシミなどを発生させてしまうので女性にとってはちょっと困った存在に思われてしまいがちです。しかし、メラニンは紫外線から肌を守ってくれる働きを持っているので、肌を紫外線から守るという面では大きな役割を持ち、紫外線のダメージを軽減してくれています。メラニンの持つ問題は、色素沈着することによってシミが出来てしまうことなので肌にメラニンをとどめすぎないようにすれば、シミができてしまうという悩みも発生しません。メラニンによってしっかり肌を守ってもらいながら、肌の悩みを起こさない生活を意識してみてはいかがでしょうか?