睡眠負債とは?睡眠負債が引き起こす健康へのリスクと解消法

最近、メディアなどで注目されている言葉の一つに「睡眠負債」という言葉があります。現代人の多くはなかなか適切な睡眠時間を確保することができず、負債のように寝られなかった、すなわち睡眠不足の時間が溜まっていくことです。睡眠負債は知らず知らずのうちに溜まり、身体の不調を招きます。睡眠負債とは何か、また睡眠負債を溜めないようにするにはどうしたらよいかについて知っておくとよいでしょう。

睡眠負債とは?

残業や遅くまでスマホをいじっているなど、睡眠不足になる原因は人それぞれにあると思います。睡眠負債を溜めてしまうとどんなリスクや影響が出てしまうのでしょう。

睡眠不足がお金の負債のように身体に溜まった状態


睡眠負債とは、少しの睡眠不足が借金のように積み重なって体に溜まっていく状態を言います。負債という言い方でわかる通り、一日では少しの時間の睡眠不足だったとしても、それが毎日のように続くと、借金のように膨れ上がり心身に悪影響をもたらすことを言います。

睡眠不足は心身へのリスクの原因

睡眠不足が続くと、心身の調子がおかしくなります。たとえば免疫機能が低下していろいろな病気にかかりやすくなったり、生活習慣病のリスクも増えます。ストレスもたまることからうつ状態になる人も少なくなく、がんや脳卒中など深刻な病気へとつながっていく人もいます。たかが睡眠不足と侮らずに、睡眠負債がもたらす悪影響について理解しておき、適切な睡眠時間を確保することが必要なのです。

慢性的な睡眠不足が多い日本で注目

実は、諸外国に比べて日本の睡眠時間は少なく、この睡眠負債を抱えている人が増えてきています。実際、日本人の約4割が睡眠不足であり、負債が膨らんでいるところに陥っていると言われています。日本は、諸外国と比べて相対的に労働時間が長かったり、通勤時間が長かったりすることや、睡眠教育が行われず睡眠の重要性をあまり国民が認識していないことが背景として挙げられます。

寝だめで睡眠不足は軽減できない


睡眠負債は、「負債」だから寝られるときに寝ることで補えばよい、これも一つの考え方でしょう。しかしながら、土曜日などの週末にたくさん寝る、いわゆる「寝だめ」という状態では睡眠負債を返済したとは言えません。体内のリズムがおかしくなり、ゆえに身体の不調を引き起こすことがあるからです。平日の睡眠負債は平日のうちに解消することがのぞましいです。

睡眠負債が引き起こすリスク

うつ病

女性

睡眠不足の状態が長く続くと、心の病気になることがあります。人間の自律神経は、活動をつかさどる交感神経と、リラックスや休息をつかさどる副交感神経の2つがバランスよく活動しているのですが、睡眠不足が長く続くと、交感神経を過剰に活動させてしまいます。脳の機能が低下して神経伝達物質がうまく機能せず、うつ病などの心の病気を引き起こします。またストレスなどで不安感も強まります。

成人病

睡眠不足が続くと、成人病のリスクが挙げられます。特に食生活において現代人はインスタント食品など高カロリーかつ塩分の多いものをよく食べます。しかしながらこれらを分解するためには睡眠時に分泌されるホルモンが必要です。睡眠不足が長く続くと、こういった物質が溜まってしまい、糖尿病や脂質異常症、高血圧などを引き起こすことがあるのです。

肥満


睡眠負債が多い状況では成人病のリスクも高まりますが、肥満のリスクも高まります。睡眠不足になると、ホルモンバランスが乱れてしまいます。食欲を抑制するレプチンというホルモンが減ってしまい、食欲を感じるダイエットの大敵ともいえるホルモン、グレリンの分泌が増えてしまいます。そのため、夜遅くまで起きているとたくさん食べたくなってしまい、太りやすくなるのです。

免疫力の低下

睡眠負債による体への影響で代表的なものは、免疫力の低下です。睡眠中に分泌される成長ホルモンが睡眠不足により少なくなると、身体の細胞を修復したり新陳代謝を促したりすることができなくなります。そのため、免疫力が低下し感染症にかかりやすくなります。睡眠不足が続くと風邪をひきやすくなるというのはこういったことが理由です。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に喉の気道がふさがってしまい、10秒から20秒程度、呼吸が止まってしまうことです。大きないびきをかくのが特徴ですが、睡眠中に苦しくなって何度も目が覚めてしまい熟睡できません。そもそも直接的な原因はホルモン以上による肥満でのどの周りについた脂肪が寝るときに気道を防いでしまいます。きちんと睡眠をとっていればこのような状態になることはありませんので、注意が必要です。

睡眠負債を効果的に返済していくポイント

睡眠負債を溜めてしまった場合、週末でたくさん寝ても解消しないとなると、どのように解消していくべきなのでしょうか。心身の不調に陥る前に改善するポイントを確認していきましょう。

スケジュールを作るときに一番優先するのは睡眠時間


睡眠負債は、返済するのではなく発生させない事が最も重要です。睡眠時間が短くなるのは、スケジュールを立てて行動できていない人が多いからです。なんとなくスマホを見てだらだらしてしまう、気づいたら夜中と言う人もいるでしょう。また、スケジュールを立てるときにいちいち睡眠時間のことを気にする人はあまりいないでしょう。しかし睡眠負債を作らないためには、まずは理想の睡眠時間を確保してからスケジュールを考える必要があります。

夜型から朝方にシフトチェンジして体内時計を整える

眠りのリズムを整えることは、良質な睡眠をとるうえで大変重要なことです。夜にぐっすりと寝るためには、まず朝にしっかりと活動することです。夜型の人も朝方にチェンジして体内時計を整えると、心身の調子が良くなります。朝は早く起きて必ず日光を浴びるようにするだけで、自律神経のバランスが整うなど身体に良い影響が出ます。

22時から翌2時の4時間は眠る

お肌のゴールデンタイムが、22時から翌2時までというのはよく知られている事実です。なぜそうかというと、成長ホルモンが分泌される時間がこの22時から翌2時までの4時間を中心とするからです。成長ホルモンは肌の新陳代謝を促してアンチエイジングに良いと思われています。加えてそれだけでなく細胞の動きを活性化させるため、この時間は熟睡するのがのぞましいです。そのため、少し前の時間からベッドに入るように心がけましょう。

朝の光をしっかりと浴びる


体内時計は、光でリセットされると言われています。そのため、体内時計を整えて身体の調子を良くするのであれば、毎日朝の光を30分浴びるように習慣づけましょう。カーテンを開けて就寝するのも良いです。朝だけではなく夜も気を付けます。たとえば、夜に赤々と電灯が光っているコンビニエンスストアなどに立ち寄ると、体内時計が狂ってしまうことがあるからです。

ウォーキングなど有酸素運動を日常的に取り入れる

ウォーキングなどの有酸素運動は、体内の代謝をあげるだけでなく適度な疲労をもたらしますので、良質な睡眠をとるのに良い影響を与えます。寝ようとして寝床に入っているのに寝られない、そんな人の中には日頃から運動不足で満足にカロリーを消費できていないからだという見方もあります。小さな子どもがお昼寝をしないので外でしっかり遊ばせることと理由は似ています。いきなり激しい運動をすると体への負担が大きくなりますので、ウォーキングなどの有酸素運動を取り入れるとよいでしょう。

ヨガやストレッチを寝る前に行う

寝る前には、ヨガやストレッチをすると気分が落ち着きリラックスできてすぐに安眠できます。寝る前の適度な運動は良いのですが、あまり激しい運動をしてしまうと身体が覚醒してしまって余計に寝られなくなります。寝る前の激しい運動は避け、ヨガやストレッチで身体のめぐりを良くしておくとよいでしょう。

シャワーで済ますのではなく入浴する


冷えは睡眠にとっては大敵です。体が冷えていると熟睡できない原因になります。そのため、冬などは部屋を冷やさないようにするのが大切です。身体を温めて睡眠モードにするためには、やはりシャワーではなく湯船に入ることが大切です。湯船につかることによって血の巡りが良くなり、指の先まであたたかくなりますので自然と入眠しやすくなるからです。

寝る前の2時間以内は食事をしない

最近では晩御飯の時間が遅くて寝る直前に食べる人も少なくありません。しかしながら、身体は食べたものを消化しなければなりませんので、交感神経が活発に動いてしまいます。そうするとリラックスモードの副交感神経の活動がおろそかになり、なかなかリラックスできません。寝る前の2時間以内には食事をしないようにします。どうしても夜遅く食べないといけない時は、おかゆなど消化の良いものにする、無理をせずに外食をしたりテイクアウトを利用するなどして、睡眠のサイクルを守ることを優先しましょう。

夜間のカフェインは避ける

カフェインは、覚醒作用がありますので就寝時には向いていません。コーヒーを飲むと寝られなくなるのはカフェインの力です。そのため、できれば就寝の5時間前くらいからは、カフェインの摂取を避けましょう。コーヒーだけでなく紅茶や緑茶にも含まれていますので、注意をしましょう。逆に、朝一杯のコーヒーを飲むと、覚醒作用によりすっきり起きられるということもあります。

質の高い睡眠のために揃えるべきアイテム

睡眠が体に与える影響を考えると、時間や睡眠前にすべき事・やめた方がいい事など、注意点がたくさんあります。睡眠の質を上げるためには、眠る環境作りも大切な要素となってきます。

ベッドや枕を買い替える

睡眠
質の高い睡眠をとるためには、まず寝具の見直しが必要です。特にベッドのマットレスが合わなかったり枕の高さが合わない場合は、なかなか寝付けなかったり寝返りの度に起きたりしてしまいます。できれば実際に手に取ってみて試してみて寝具を選びましょう。枕の中には、自分で高さを調節できるものもあります。首や頸椎に負荷をかけない、体圧分散型の枕を選ぶようにしましょう。

遮音カーテンや遮光カーテンで眠りやすい環境を整える

最近では夜遅くても24時間営業のお店があったり、夜遅くに活動している人も少なくないので、まわりが照明で明るかったりうるさかったりして寝られない、と言ったケースもあります。そういったケースでは、性能のよい遮光カーテンや遮音カーテンを利用することで、就寝にふさわしいリラックスした環境を手に入れることができます。

エアコンと加湿器、除湿器を用意し快適な温度と湿度を保つ

部屋が寒すぎたり暑すぎたりすると、快適に寝ることができません。夏場暑すぎると汗をかいて冷えてしまって風邪をひきますし、冬場は乾燥したりさ寒すぎるとなかなか寝付けないからです。帰ってくるのが遅くてなかなか室温に気を配れない人は、エアコンのタイマー機能などを利用するとよいでしょう。また、エアコンが体に合わないという方は、夏は除湿にしたり、冬場は加湿器で乾燥を防ぐなど、自分に合った温度と湿度へ整えましょう。

Tシャツやスウェットではなく専用パジャマを用意する


ついつい寝るときには普段着のTシャツやスウェットで寝てしまう人も少なくありません。しかしながら、良質な睡眠をとるためには寝具だけでなくパジャマにも気を使う必要があります。素材が良く着心地の良いパジャマに寝る前に着替えて、しっかりと安眠するようにしましょう。

アイマスクや耳栓を用意する

それでも集中して寝られないという人は、アイマスクや耳栓をするのがおすすめです。昨今では、サイズ調整ができるアイマスクなど、身体に負担のかからない製品も出ていますので、そういったアイテムを利用して光と音を遮断し、快適な睡眠時間になるようにしましょう。

安眠アプリを有効活用する

安眠アプリとは、リラックスして眠りに就くことができるアプリです。寝たままヨガができるアプリや、心拍数と時刻を考慮してオリジナルサウンドを流すアプリなどさまざまなものがあります。さまざまな水音をシャッフルして心地よい眠りに誘ってくれるアプリもありますので、そういったものを利用して安眠するのも一つの方法です。自分の睡眠時間が気になる人は、睡眠時間を記録できるアプリもあります。

間接照明やアロマで寝室を整える


寝る前に浴びてはいけないのが、ブルーライトと言われるいわゆるスマホやパソコンの光です。スマホやパソコンは少なくとも就寝する1時間前には手放しましょう。また、夜になると直接的な明るい照明ではなく、間接照明の柔らかい光で目が疲れないようにしましょう。また、ラベンダーなどのアロマを用いると、リラックスして安眠することができます。

まとめ

メディアなどで話題となった睡眠負債とは、睡眠不足が借金のように体に溜まってしまう状態を言いますこれは、寝だめでは解決できず、さらに心身に様々な悪影響をもたらします。うつ病や成人病、肥満、免疫力の低下や睡眠時無呼吸症候群などのリスクが高まります。睡眠負債を溜めないようにするには、スケジュールを作る際に睡眠時間から計算したり、朝方の生活にシフトチェンジして体内時計を正常化することから始めましょう。また、ウォーキングなどの有酸素運動を日常的に取り入れたり、寝具やパジャマを含めた寝るときの環境を工夫することも大切です。