内臓脂肪が増えると……?
肥満は高血圧や糖尿病などの生活習慣病になりやすいものです。内臓脂肪も同じです。増えると危険と言われる内臓脂肪。その理由について説明します。
太りやすく痩せにくくなる
内臓脂肪が増えてしまう状態は、脂肪細胞も大きくなっている状態ということ。脂肪細胞が大きくなるとアディポネクチンというタンパク質の分泌が減少します。その結果インスリンの働きが悪くなり、脂肪の合成が増え、さらに内臓脂肪が増えるという悪循環が始まります。
この悪循環が始まると、少し食事を減らしたり、体を動かしたりしただけでは追いつきません。体は内臓脂肪を蓄積し続け、太りやすく、痩せにくくなるのです。
悪玉菌が増え不健康な体になってしまう
脂肪細胞はアディポサイトカインという物質を分泌するのですが、働きによって善玉物質と悪玉物質に分かれます。善玉物質は肥満を抑制したり、血管を健康にするなどの働きがあるのですが、血糖値を上昇させたり、血圧を上昇させたりするのは悪玉物質。内臓脂肪が増えると、善玉物質が減り、悪玉物質が増えてしまうのです。
悪玉物質が増えると、動脈硬化になりやすく、血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞など重篤な病気を引き起こしやすくなるのです。
内臓脂肪が溜まる原因とは
若い年齢では気にもしなかった内臓脂肪。年とともに脂肪が溜まりやすくなるのは気がついているでしょうか?それと同時に内臓脂肪も蓄積されていきます。その原因について説明しましょう。
加齢により基礎代謝量が落ちるため
ダイエットのためには基礎代謝をアップさせることが大事と言われています。基礎代謝を高めれば、運動効果も高まり、消費エネルギーも増えます。しかし、基礎代謝量は年齢とともに下がっていきます。
基礎代謝が下がる理由の一つは筋肉量の減少。エネルギーがたくさん消費されるのは筋肉です。筋肉量が減れば消費される基礎代謝の量も減ってしまいます。さらに、食事を摂らなかったりダイエットをしたりしていると、体温が下がり体を冷やしてしまうため、基礎代謝が下がります。
若い頃と比べて痩せにくくなったことで、さらに食事を減らしたりしていると筋肉量が減り、基礎代謝は低下することに。ダイエットは大事ですが、食事だけではなく運動を合わせてすることも必要です。
食べ過ぎ!カロリー摂取がオーバーしているため
摂取カロリーが多すぎると、エネルギーとして消費されなかった物は脂肪として蓄積されます。カロリーを摂取しても消費されれば問題ありませんが、消費しきれないと脂肪となってしまいます。
特に炭水化物や油もの、肉類など高カロリーの食事ばかりしている人は要注意。甘い物の摂り過ぎも内臓脂肪を増やす要因です。
慢性的な運動不足が原因になることも
過剰なカロリーを減らすには運動をすることですが、運動不足だと消費されません。血行も悪くなり老廃物も溜まりやすくなります。体も冷えやすく基礎代謝も下がりやすくなります。
普段から運動をしていないと、体を動かすのも面倒になるのでますます運動不足に。少し体を動かすと筋肉痛になったり、膝を傷めたりして、運動ができなくなり、内臓脂肪が増えていきます。
女性は閉経後の女性ホルモン減少にも関係がある
女性は皮下脂肪がつきやすいとされていますが、閉経後は内臓脂肪がつきやすくなります。理由は女性ホルモンの減少。女性ホルモンの一つであるエストロゲンには、内臓脂肪の代謝を促し、蓄積を防ぐ働きがありますが、閉経後はそれがなくなるため、内臓脂肪がつきやすくなるのです。
内臓脂肪を落とす方法:運動から
内臓脂肪を落とすには、普段から体を動かし、カロリーを消費することが必要です。内臓脂肪を効果的に落とす運動について紹介します。
ジョギングなどの有酸素運でカロリーを消費
内臓脂肪を落とすには有酸素運動がおすすめ。水泳やウォーキング、ジョギング、エアロビクスなどがありますが、手軽にできるのがウォーキングやジョギングでしょう。運動に慣れていない場合は、いきなり長時間を全速力で走るとケガをしたり、筋肉を傷めたりします。まずはウォーキングや軽いジョギングから始めるといいでしょう。
筋トレなどの無酸素運動で代謝を上げる
さらに運動効果を高めるために無酸素運動をしましょう。筋トレなどの無酸素運動は、筋肉量を増やし、基礎代謝を高めてくれます。筋トレは体を引き締められるメリットも。腹筋や背筋、ダンベル運動などがおすすめです。
筋トレは引き締めたい部分を意識して、正しいフォームで行うことが大事です。鏡を見ながら、正しいフォームをチェックしながら行いましょう。
内脂肪を落とす方法:食事から
内臓脂肪が増えるのは、食事の量や質に問題があるからです。そうはいっても、むやみに量を減らしてもリバウンドしてしまいます。内臓脂肪を落とす食事方法について知っておきましょう。
炭水化物を摂り過ぎない
食べ過ぎると脂肪となり蓄積されやすい炭水化物の過剰摂取は禁物。1日の摂取カロリーの半分以下にして、食べ過ぎを防ぐことです。ご飯やパン、パスタ、ラーメンなどは大好物、という人も多いでしょう。量に注意しながら、低糖質の物を選んだり、脂質の少ない物を選んだりしてカロリーの過剰摂取に注意しましょう。
野菜を多く食べるようにする
野菜にはビタミンやミネラルのほか、食物繊維が多く含まれています。脂質の代謝を促し、脂肪の蓄積を防ぐビタミンB群や、脂肪を排出しやすくしてくれ食物繊維は、積極的に摂りたいもの。中でも緑黄色野菜にはβ-カロチンが含まれ、動脈硬化を防いでくれます。
生野菜で食べると量も不足しがちで、体を冷やしてしまいます。温野菜やスープなどにしてたくさん食べるようにしましょう。
肉の脂身は避ける
肉類には悪玉物質を増やし、動脈硬化を進行させる飽和脂肪酸が多く含まれているので、食べ過ぎないことが大切。しかし、お肉には脂質代謝や糖質代謝を促すタンパク質も多く含まれています。必要以上に制限する必要はありません。
お肉を食べる際には、脂肪の少ない部位を選び、野菜と一緒に食べるといいでしょう。調理をする際には、フッ素樹脂加工のフライパンなどを使い、油を少な目に。できるだけ控えたい揚げ物ですが、作るときには焼き揚げにしたり、キッチンペーパーで油を落としたりするようにしましょう。
就寝前は食べない
寝る前に食べると、食べた物は消化されないまま脂肪となって蓄積されます。未消化の食べ物が体内にあると、質の良い睡眠も取れません。食べた物は消化してから寝るようにしましょう。そのためにも寝る3時間前までには、夕ご飯を済ませておくことです。
特に焼き肉や天ぷらなどは消化に3時間以上かかることがあります消化に時間がかかる物は、ランチで食べるようにしましょう。どうしても夜ご飯が遅くなる場合は、油物や炭水化物は控え、ヨーグルトや野菜スープ、おかゆなど消化のいい物を食べるようにしましょう。
まとめ
内臓脂肪が増える理由は、食べ過ぎや高カロリーの食事、運動不足、加齢などさまざまです。特に食事の量や内容、運動不足は、内臓脂肪が増える大きな要因です。食事の量だけでなく、内容を見直すことが、内臓脂肪を減らすには大切。運動をし慣れていない人も、最初は無理をせずにできる運動から始めてみましょう。