便秘にはお腹のマッサージが効く

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便秘の人は便が硬くなり腸の動きが悪くなっている
食べ物が口から入り、食道を通って胃、十二指腸、小腸を経て大腸にたどり着くと、便を外に送り出すためのぜん動運動が自然に起こるようになっていますが、便秘で腸の機能が弱まっていると、大腸が上手く動かなくなると言われています。また、スムーズに排便するためには、便が軟らかく動きやすい状態であることが必要ですが、食物繊維や水分が不足するなど、便が硬くなってしまうのも便秘の原因となるのだそうです。
さらに、便秘状態が続いて、便が長く腸内に滞留すると、便の水分が失われてますます硬くなるとともに、腐敗して悪玉菌が増えてしまいます。すると腸内環境が悪化して、腸の働きが弱まり便秘がひどくなる…という悪循環になってしまうかねません。
便秘が慢性化・長期化したことで、自力では上手く動かなくなってしまった腸に刺激を与えて、カラカラに渇いて硬くなってしまった便を押し出すために、お腹をマッサージして腸を動かしてあげるのが有効と言われているのですね。
ねじれ腸が原因の場合も

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最近、便秘の新たな原因として挙げられるようになったねじれ腸。少し前にテレビで取り上げられて話題になったので聞いたことのある人も多いのではないでしょうか?おへそのあたりにある小腸を四角く取り囲むように存在している大腸が、通常とは異なる部分で曲がっていたり、ねじれてしまったりしている状態がねじれ腸と呼ばれています。
ねじれ腸を紹介した、久里浜医療センターの水上先生によると、便秘に伴ってお腹が痛くなる、便秘のあとには下痢になる、といった症状がある人は、ねじれ腸の可能性があるようです。
ねじれ腸による便秘の特徴は、腸のぜん動運動は問題なく、便も軟らかいのに、腸が不自然にねじれて狭くなっている部分に便が詰まって排便しにくくなることだそうです。つまり、詰まってしまっているポイントをマッサージしてあげることで、便秘が解消されることが期待できるというわけなんですね。
便秘を解消する腸マッサージのやり方

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- ①大腸を刺激する腸もみマッサージ
- ②腸全体を優しくさする「の」の字マッサージ
- ③ねじれ腸にもおすすめ。下腹部を刺激するマッサージ
①大腸を刺激する腸もみマッサージ
大腸は肋骨の真下辺りから腰骨の上にかけて、お腹の中心にある小腸を四角く取り囲むように存在しています。位置をきちんとイメージしてから揉んであげましょう。
- 身体の側面からお腹や腰を、親指を背中側に当ててグッとつかむようにして揉む。両手の人差し指・中指・薬指の3本で押すようにしてもOK。時間は3分間ほど。
- 特に便や老廃物が溜まりやすいのは四角形の四隅ですので、重点的に刺激する。
- 押してみて硬かったり、痛かったりする場合は老廃物が溜まっている箇所なので、意識して揉みほぐす。
②腸全体を優しくさする「の」の字マッサージ

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次は小腸から大腸にかけてお腹全体をさするようにマッサージしましょう。便の動きに合わせて「の」の字にマッサージすることで、便が外に出るのを促してあげます。
- 座った状態か、寝た状態だとやりやすい
- おへそに両手を置き、時計周りに円を描くようにやさしくさする
- 「の」の字を書くように徐々に円を広げるようにして30秒ほど行う
③ねじれ腸にもおすすめ。下腹部を刺激するマッサージ
最後に下腹部にあるS字結腸のあたりを刺激するマッサージ。便の出口で元々曲がっている部分なので、ねじれ腸で便が詰まっている人にも効果的なんだそうですよ。
- 仰向けに寝て、膝は90度に曲げる
- 両手の親指以外の指4本で、おへその下のS字結腸の位置をイメージしながらトントンとマッサージする
- 恥骨の上からおへその下にかけて、少しずつ上下に動かしながら1分間行う
便秘に効くマッサージを行うときの注意点

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お腹のマッサージは自宅でセルフでできる手軽さが魅力ですが、トラブルを避けるために注意すべき点は押さえておきましょう。腸は全身の健康に影響する重要な臓器。万が一異常を感じたらすぐに中断してください。思わぬ副作用に見舞われないために気を付けたいのは下記の3点です。
- ①強く揉みすぎない
- ②空腹時や食後1時間は避ける
- ③下痢や生理中・妊娠中の方は避けた方が無難
①強く揉みすぎないように気をつける
身体のコリと同様、押して硬かったり痛かったりする部分は、老廃物が溜まっている証拠ですが、力の入れすぎは禁物。お腹周辺は腸だけでなく、胃や肝臓、膵臓など重要な内臓が密集している非常にデリケートな場所。コリをほぐすというよりは、押し流す手助けをしてあげる気持ちで、程よい力加減で揉むように心がけてください。触ってみてドクドクと脈を感じる部分は動脈なので押さないようにしましょう。
また、お腹が冷えるのも便秘には良くないと言われていますので、お腹のマッサージを行うときには、部屋を暖かくしたり、手を温めたりするなどの冷え対策をしっかり行ってください。
②空腹時や食後1時間は避ける

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腸が活動しにくい空腹時や、食後すぐのお腹のマッサージは、腸に大きな負担になってしまうため避けましょう。おすすめは朝と夜の2回。夜寝る前にマッサージ→就寝時の腸の活動が活発に→朝一のマッサージで腸を目覚めさせる→お通じがスッキリ、というサイクルが期待できます。
③腸が過敏になっている人や生理中・妊娠中の方は避けたほうが無難
下痢などで腸が敏感になっているときはお腹のマッサージは控えましょう。同じ便秘でも腸が過敏になっているのが原因の場合も、むしろ症状が悪化する可能性があります。また、生理痛がひどいときや、妊娠中の方も避けたほうがいいかもしれません。子宮と腸は近いので、思わぬトラブルを引き起こすこともありますので、くれぐれも注意してください。
便秘を解消するにはマッサージ以外にも対策を
頑固な便秘にはお腹のマッサージは効果がある程度期待できそうですが、きちんと解消するためには食事や生活習慣の改善も必要と言えるでしょう。
便秘に良い食べ物をとる

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便秘は腸内環境の悪化と便が硬くなってしまうのが原因と言われています。善玉菌を増やして腸内フローラのバランスを整えてくれるものや、食物繊維などの便を出しやすくしてくれる食べ物をきちんと摂りましょう。
必要な栄養 | 便秘に対してのメリット | 代表的な食品 |
水溶性食物繊維 | 便を軟らかくして腸内の通過を滑らかに | 果物・こんにゃく・海藻など |
不溶性食物繊維 | 腸の動きを活発にする | ごぼう・イモ類・大豆など |
乳酸菌・ビフィズス菌 | 善玉菌を増やして腸内環境を改善 | ヨーグルト・納豆・キムチなど |
植物油 | 腸内の便のすべりを良くする | サラダ油・オリーブオイルなど |
消化の良い炭水化物 | 腸を刺激して排便を促す | うどん・おかゆなど |
水分 | 腸を刺激して動きを活発にする | 冷水・冷たい牛乳・炭酸水など |
ただし、このような食品を多く摂ることで便秘が解消されると思うのは間違い!腸内環境を正常に保つには、栄養のバランスが何よりも大事なのです。この中で、普段の食生活で不足しているものがあったり、肉ばかり食べているなど、偏りがあれば改善してみましょう。
特に腸内フローラの環境改善には、乳酸菌などで善玉菌を増やすと良いでしょう。ヨーグルトやキムチなどの発酵食品を日常的に食べるのは難しい…という方には、体内フローラサポートサプリの「LAKUBI(ラクビ)」をおすすめします。
適度な運動などで腸を刺激して活動を活発にする
腸の動きをよくするためには適度な運動も効果的と言われています。ランニングなどで腸を揺らしてあげるのもいいですし、腸を動かすために重要な腹筋を鍛えるのも重要でしょう。運動が苦手な人は、ラジオ体操にあるような上体をひねるストレッチをするのもおすすめですよ。
また、腸に刺激を与える手軽な方法が、朝起きてすぐにコップ一杯の水を飲むこと。腸を目覚めさせて、朝トイレに行く習慣をつけるために有効なんだとか。もちろん朝食も大事ですので、忙しかったり、ダイエット中であったりしても、何かしらは口にするようにしましょう。
まとめ
便秘の解消には、お腹をマッサージして腸に刺激を与えてあげるのは効果的だと言われていることをご説明しました。食事や運動など、便秘対策を一通りやっているけど改善されない、という頑固な便秘を抱えている人は、一度試してみるといいかもしれません。
腸のマッサージは自宅でも手軽にできるおすすめの方法ですが、便秘の解消には日々の食事や生活習慣の改善が必要だと言われています。下記の記事も参考に、腸からきれいで健康な身体を目指しましょう。