北海道の先住民族から生まれた文化。アイヌ文様が美しい伝統工芸品の数々

言葉や音楽、刺青などに代表される、特徴ある独自の高い文化を育んだアイヌ。その中でも『アイヌ文様』は、アイヌの人々の生活の根底深くに流れています。

少しずつ姿を変えつつ、現在も継承されるアイヌ文様の施された雑貨の数々をご紹介します。

アイヌの美しい模様

アイヌ文様の美しい着物。

アイヌ文様は、鎖やとげなどをイメージしていると言われています。

布を半分に折って折り目をつけ、その折り目に糸で目印をつけるといったことを繰り返し、その目印をつないで模様をつくります。

複雑な線で構成されていますが、実は下書きなく作られたパターンです! ルウンペ、チヂリ、カパラミプと呼ばれる様々な刺しゅうの手法があり、その模様の作り方は母から子へ、子から孫へ口伝で伝えられていきました。

アイヌ文様のファッション

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アイヌの考えでは、服のすそやそでなどの開口部分から、魔物や病気が入ってくるとされていました。

よって、それを避けるため衣服のすそに鎖やとげなどの文様を「魔よけ」として施していたと言われています。

また、身体の中に直接悪い物が入らないように口元にも刺青で模様を入れていました。

口元の刺青は、女性が結婚するための条件でもあります。

アイヌ・イタㇰと呼ばれる独自の言葉を使い、文字を持たない文化でもあったアイヌ。

方法が記述されないことにより、地域や時代によって、柄や衣服のかたちも様々な変化を遂げていきました。

アイヌ文様の生活道具

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日常品や、儀式に使う品々にもアイヌ文様が施されました。

複雑な模様の入ったアイヌ民族に伝わる万能ナイフ「マキリ」。

『間切り』『魔切り』『魔斬り』など、いろいろな文字で表されます。

漁師や職人が、イカや魚をさばいたりするのに使われる小刀のことも「マキリ」と呼び、鮭を大事な食料としていたアイヌの人々に通ずるものがありますね。

マキリには複雑な動物の厄よけのモチーフが刻まれ、アイヌ独特の文化でもある刺青を入れる時に使われました。

細かな模様の意味

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模様にはそれぞれ意味があり、その役割を果たすよう正しく配置しなければなりません。

例えば、渦巻きの模様はアイヌ語で「モレウ」と読み、「静かに回る」という意味があります。

これは、悪い神様が寄ってきても目を回して、体の中に入らないように守ってくれると考えられています。

またトゲの模様は、トゲは痛いから悪い神様が入ってこないという意味があります。

アイヌの人々について

「アイヌ」とは、アイヌ語で「人間」を意味する言葉。

北海道・樺太・千島列島、ロシア・カムチャツカ半島南部にまたがる地域の先住民族です。

植物・動物・さらには無生物を含むすべての自然現象は、精神的な本質を持っていると考えられ、自然に寄り添う生活を送っていました。

また、狩猟採集と交易を得意とした民族でもあり、本州やオホーツク海の人々と物々交換して、足りないものは交易で補いながら暮らしていました。

アイヌの祖先は北海道在住の縄文人。

最近のDNA鑑定では、アイヌが12,000年前には早くも日本に住んでいた古代縄文人の直接の子孫で​​あることが示唆されています。

現在の日本人は、もともと日本に住んでいた日本人と渡来人との混血によって生じたもので、九州や本州では両者の混血が進みましたが、北海道と沖縄では縄文人の系統が比較的純粋な形で残り、彫りの深い目鼻立ちや濃い体毛、頬骨の張り出し方が強いなどの身体的な特徴があります。

模様が施されたお盆『二風谷イタ』

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2013年に伝統工芸品に指定された『二風谷イタ』。

アイヌの人々が住んでいた、沙流川流域に古くから伝わる木製の浅く平たいかたちのお盆です。

モレウノカ(うずまき)や、ラムラムノカと呼ばれるウロコを模したデザインの彫りが入っているのが特徴です。

樹皮の反物『二風谷アットゥシ』

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こちらも二風谷イタと同じく伝統工芸品に指定された『二風谷アットゥシ』。

沙流川流域で育つ、オヒョウとよばれる木の内側の皮をよって作った糸から織った反物です。

水に強く、通気性に優れ、北海道の厳しい気候に負けない強さを兼ね備えた、独特な風合いを持つ二風谷アットゥシ。

アイヌの人々が着る衣服のほか、小物などにも使用されました。

こちらはアットゥシで作ったお財布。

現在でも形を変えつつ生活用品に姿を変え、日常に溶け込んでいます。

現在も受け継がれるアイヌ模様のグッズ

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アイヌ民族が儀式の際に身につける、手甲(ミトンのようなもの)の装飾をモチーフにして作った「アイヌ刺繍ポーチ」。
アイヌの習慣では、魔除けの為に手先と足下に梟の目を柄にした刺繍を施すとのこと。

アイヌの模様が入ったクッションカバー。

意味は理解できずとも、その美しいデザインは目を惹きますね!

札幌にある「ToyToy屋」の木製ペンダント。

アイヌ文化に囲まれて育った小川基さんがデザイン・販売しています。

おしゃれなファッションアイテムですが、模様の持つ意味を忠実に守りながらデザインされているので、お守りとしても使えます。

まとめ

現在ではアイヌ民族は2006年の北海道内での調査に応じた者のみで23,782人とされ、その後公的な人数調査はされていません。

アイヌ語の話者は2007年の調査で10人とされ、ユネスコにより2009年2月に「極めて深刻」の評価をくだされた「危機に瀕する言語」でもあります。

ひとつの言語がなくなることは、多くの文化を失い、人間の多様性をも失うことを意味します。

長い歴史の中で進化を遂げ、育まれた独特のアイヌ文様。

アイヌ文様の多くは、アイヌ語の名前がついています。

模様ひとつひとつに意味があり、アイヌの人々の生活に深く根付いていたことがわかります。
「二風谷イタ」と「二風谷アットゥシ」は、独自に育まれた豊かな文化を残すためにも伝統工芸品に指定されました。

自然に寄り添う美しいアイヌの精神が宿る模様のモチーフが施された工芸品を、ぜひひとつ持ってみてはいかがでしょうか。