ねぎらいの言葉とは?
ねぎらいの言葉とは、相手の労苦にかける言葉です。「お疲れ様」、「ありがとう」など、相手がしてくれたことに感謝しているという意味があります。
ねぎらいの言葉をかけられると、努力していることを認めてもらえた喜びで、疲れやストレスが吹き飛ぶものです。
ねぎらいの言葉とは相手が喜ぶ言葉
ねぎらいの言葉は、かける相手を喜ばせる目的を持っています。相手の頑張りを認めていても、もう十分努力したから終わりにしていいなどと声をかけるのはねぎらいの言葉ではありません。
一言かけられた相手が素直に単純に喜べるのが、ねぎらいの言葉です。
目上の人へは「お疲れ様です」
ねぎらいの言葉は、部下や後輩など目下の人にかける言葉と解釈されがちです。しかし、ねぎらいの言葉はときに目上の人にかけても効果を発揮します。
例えば、「お疲れ様です」の一言も相手を喜ばせることができます。挨拶のように当たり前に使われている言葉ではありますが、心を込めてかけるかどうかでねぎらいの意味が伝わるでしょう。
部下へのねぎらいは「ご苦労様」
上司にかけるねぎらいの言葉は「お疲れ様です」ですが、同じ意味のねぎらいを部下にかけるときは「ご苦労様」です。上司や先輩に「ご苦労様」と声をかけてしまうと、威圧的に聞こえてしまいますから注意してください。
上司や先輩に仕事ぶりを認めてもらうことは、職場では重要なことです。だからこそ、頑張りを認めてもらえたと感じられる「ご苦労様」が励みになります。
部下のモチベーションや信頼関係にも関わってきますから、一言でもねぎらいの言葉をかけてあげるのが効果的です。
努力を認めてくれる言葉「頑張っているね」
「頑張っているね」も、上司や先輩からかけてもらうねぎらいの言葉として嬉しいものです。「ご苦労様」に準ずる言葉として積極的に使われると、職場の人間関係がよくなります。同僚に対してかけるねぎらいの言葉としても、おすすめです。
頑張っているのに誰も認めてくれないと、ストレスがたまってきます。ストレスは心身をむしばみ、しまいには職場に出てこられなくなる状況にもなりかねません。ねぎらいの言葉を一つかけるだけで働きやすい環境を作れるなら、積極的に使ったほうがよいに決まっています。
誰が言われても嬉しい「ありがとう」
外出先で知らない人のためにエレベーターのボタンを押してあげたとき、「ありがとう」と言われたら良いことをしたと嬉しくなりませんか?
それまでの感情をひっくり返してしまうパワーを、「ありがとう」は持っています。「ありがとう」と言われて、怒りを覚える人はあまりいません。「ありがとう」は、こまめに使ってみてください。
言われてほっとする「助かるよ」
自分の頑張りがやり過ぎかもしれない、的外れかもしれないという不安を抱くこともあります。そんなとき、「助かるよ」とねぎらいの言葉をかけられると安心しませんか?
こんな一言で相手を安心させてあげられるなんて、ねぎらいの言葉の威力を思い知らされます。上司や先輩、同僚がかける言葉としてだけでなく、上司や先輩に部下から後輩がかける言葉としても使えます。
上司から部下への「ねぎらいの言葉」のポイント
上司から部下にかけるねぎらいの言葉には、大事にしたいポイントがあります。同じ言葉でも、気持ちが込められているかどうかで大きな違いがあるのです。
上司から部下にねぎらいの言葉をかけるときのポイントについて、紹介します。
努力していることへの応援の気持ちをこめる
部下が努力していることに応援の気持ちをこめてねぎらいの言葉をかけてあげると、部下の励みになります。努力の成果は、すぐに出てくるとは限りません。
それでも誰かが見ていてくれた、認めてくれたと感じられることで頑張ってよかったという気になれるものです。
具体的な働きに対して感謝の気持ちをこめる
感謝の気持ちをねぎらいの言葉で示すときにも、具体的な働きに対してだとわかると、認めてもらえた感が高まります。
「ありがとう」「ご苦労様」などの言葉は、ときには反射的に出ることもあるものです。受け取る側も、反射的に何の感情もなく聞き流してしまうことがあります。
しかし、ねぎらいの言葉が特定のことに対してかけられているのだとわかると、言葉の力が強まります。具体的な働きに対するねぎらいの言葉だとわかるように伝えることも、大切です。
存在価値を認めて褒める気持ちをこめる
ねぎらいの言葉をかけられた側は、存在価値を認めてもらえたという喜びも味わいます。
感謝や努力を認めるだけでなく、居てくれてありがとうという意味もこめて言葉をかけると、部下との信頼関係が深まりそうです。
部下から上司への「ねぎらいの言葉」のポイント
部下から上司に、ねぎらいの言葉をかけたくなるシーンもあるでしょう。上司だって、誰かに認められたい、いたわられたいというときもあります。
部下から上司にねぎらいの言葉をかけるときのポイントについて、見ていきましょう。
上司の仕事量への気遣いをこめる
周囲にはわかりにくくても、上司は責任の重い仕事を抱えています。部下に全ての仕事を任せているようでいて、上司の肩にかかった重圧は想像以上です。部下は、個人の担当分やチーム全体の仕事を同僚や先輩後輩と分け合えます。
これに対して、上司にはチームの責任がまるごとのしかかってきます。そのうえ、上司は部下から目の上のたんこぶのように扱われがちです。部下を厳しく指導しながらも、チームを引っ張るために人知れず努力している上司には、その仕事量を気遣ってねぎらいの言葉をかけてみましょう。
上司の苦労をいたわる気持ちをこめる
上司は、苦労を知られないように部下をサポートする必要があります。もしも上司から愚痴られたら、部下は上司だけでなくチーム全体に不信感を抱くようになるでしょう。
しかも、手柄を我が物にしてしまえば、部下がやる気を失ってしまいます。何もしていないようでいて、部下ができないことの全てを上司は背負ってくれているのです。
そんな上司には、苦労をいたわる気持ちをこめてねぎらいの言葉を伝えたいところです。いつも見守ってくれて助かります、部長がいてくださるおかげで安心して仕事ができますなど、具体的な苦労には触れずとも「お疲れ様です」の気持ちを伝えましょう。
日頃の感謝の気持ちをこめる
部下が平常通りの仕事をしていられるのも、上司がさりげなくサポートしてくれているからです。日頃の感謝の気持ちをこめて上司にかけるねぎらいの言葉は、やはりさりげないほうがいいかもしれません。
大げさにすると、照れくさがる上司も少なくないでしょう。「いつもありがとうございます」とさらっと挨拶を出すように伝えると、上司もしみじみと喜んでくれるはずです。
恋人・夫婦間での「ねぎらいの言葉」のポイント
ねぎらいの言葉は、何も仕事関係だけで有効なわけではありません。夫婦や恋人同士の間でも、ねぎらいの言葉が効果的です。2人のきずながさらに深まるねぎらいの言葉を、パートナーにかけてみてください。
お互いの行動に対して感謝の気持ちをこめる
つきあいが長くなった恋人同士や夫婦間では、ついつい相手への感謝の気持ちを忘れてしまいがちです。お互いが一体化してくるせいか、相手への要求が強くなったり、何かしてもらっても当たり前のように感じてしまうのでしょう。
ですが、どんなにつきあいが長くなっても、相手は別の人格です。常に相手の尊厳を大切にすることで、より良い関係を続けていけます。
相手から何かしてもらわないとお返ししないような関係になってくるのも、つきあいの長いカップルによくある傾向です。感謝の気持ちは、まず自分から伝えてみてください。
最初は相手が無反応かもしれませんが、次第に心を開いてくれるようになるでしょう。相手のほうから先に感謝を示してほしいと待っていたら、いつまで経っても何も変わらないかもしれません。自分から行動することを心がけましょう。
愛情と思いやりの気持ちをこめる
どんなに慣れ合ったカップルでも、いつでも相手への愛情や思いやりを忘れたくないものです。愛情や思いやりがあってこそ、一緒にいて快適になります。
また、一緒にいれば、どんなカップルにもお互いを思いやるシーンはあるはずです。いつも喧嘩ばかりしていても、ふと相手が心配になったらその気持ちをねぎらいの言葉に変えてみてください。
「ねぎらいの言葉」注意点
ねぎらいの言葉は、使い方によっては失礼にあたることもあります。言葉遣いには十分に注意して、ねぎらいの言葉をかけるようにしましょう。ねぎらいの言葉をかけるときの注意点について、紹介します。
部下が上司に対して「ご苦労様」はNG
「ご苦労様」は、上から目線のイメージが強い言葉です。使ってはいけないという決まりはなく、かつては上下関係を問わず使われていたともいわれていますが、現代社会での風潮は大切です。目下から目上にかけるねぎらいの言葉としては、「お疲れ様です」が賢明でしょう。
逆に、上司から部下に「お疲れ様」はおかしくないのかと疑問に思う人もいるようです。上司から部下に「お疲れ様」と声をかけるのは問題ありません。むしろ、部下を尊重している上司というイメージが高まります。
セクハラにならない言葉を選ぶ
ねぎらいの言葉をかけたつもりが、セクハラと受け取られてしまうこともあります。セクハラのボーダーラインを判断するのは、難しいものです。考え過ぎではないかと思っても、油断しないようにしましょう。
例えば、「助かるよ」と感謝を伝えたかっただけなのに、つい「良い奥さんになりそうだ」などと付け加えたら、セクハラと受け取られかねません。
お互いに軽口を言い合える関係なら笑い飛ばせそうなことでも、深刻に受け止める人もいるということは意識しておいたほうがよいでしょう。
性差にならない言葉を選ぶ
セクハラ問題は男性上司から女性の部下に対しての言動がクローズアップされがちでした。それがいまや、女性上司からセクハラを受けたと感じる男性の部下も増えてきています。セクハラは、する側は気付かずにしていることが多いものです。
女性上司が男性の部下にセクハラで訴えられる場合も、女性上司側はそんなつもりはなかったのにと驚きます。上司は部下より権限を持っているだけに、性差にならない言葉遣いをするように慎重になったほうがよいでしょう。
上から目線で言わない
上から目線でねぎらいの言葉をかけられても、全く嬉しくないことがあります。むしろ失礼になってしまうこともあり、どんな関係でも上から目線にならないように注意することが大切です。
例えば、普段は家事や育児をあまりしない夫がたまに妻の代わりを引き受けてくれたとします。妻としてはたまのことですし、つい「ご苦労様」と出てしまうかもしれません。
しかし、「ご苦労様」と言われた夫は、上から目線で言われたと怒りを覚える可能性があります。こんなときは、「お疲れ様です」と感謝の気持ちを伝えたほうがよいでしょう。
まとめ
ねぎらいの言葉は、ほとんどの場合で人間関係を良くするのに役立ちます。しかし、使い方を間違うと逆効果になりかねません。
常に周囲への感謝の気持ちを忘れず、尊重する言葉をかけるようにすれば、礼儀も守りながらねぎらいの言葉をかけられるようになるはずです。