「労いの言葉」どんな時に使う?
労いの言葉を使うときは、大きく2つに分かれます。意識して声をかけようというときと、自然と言葉が出るときです。
どちらのタイミングでも、声をかけられた人には意外に大きな刺激になります。望ましいのは、相手の良い刺激になることです。労いの言葉は、相手をいたわりたいとき、感謝したいときに、短い言葉で気持ちを伝えるために使います。
仕事や奉仕活動など肉体的に疲労しているとき
労い(ねぎらい)という言葉には、苦労の「労」が含まれています。労の意味の一つは、骨折りです。功績や手柄を意味することもあります。
仕事や奉仕活動など、骨を折って尽くすことで生じるのは肉体的な疲労感です。体が疲れているときに労いの言葉をかけられると、それまでの疲れが一気に吹き飛びます。
働いてくれた相手に感謝の気持ちを伝えるとき
自分のために働いてくれる人は、直接的にも間接的にも少なくありません。そんな存在に気付いて感謝の気持ちを伝えるときにかけるのも、労いの言葉です。
相手にとっても、特定の人のために働いているつもりはないかもしれません。しかし、喜んでくれる人がいるなら、働いた意味があります。そんな働きに感謝の意味で労いの言葉をかけられたら、働いた甲斐があったと感じられるでしょう。
自信をなくして落ち込んでいるとき
身近な人が自信をなくして落ち込んでいるときも、労いの言葉をかけてあげる良いタイミングです。ただし、落ち込んでいる理由や相手の心境によっては労いの言葉が逆効果になってしまうこともあります。かける言葉は吟味したほうが、お互いが気持ちよくなれるでしょう。
頑張っても、努力が報われないときもあります。今日はゆっくり休んで、「また明日頑張ろう!」というように前向きになれる言葉をかけてあげるのが一番の労いです。
明日があるから「大丈夫」ということを伝えてあげるようにしましょう。
仕事などで目標を達成したとき
努力の甲斐あって目標を達成したときは、遠慮せずにどんどん褒め言葉を送りましょう。「やったね!」「頑張ったね!」などの単純な言葉が、労いになります。注意しておきたいのは、上から目線にならないようにすることです。
上司から部下への労いなら上から目線でも当然ですが、同期や後輩からかけられる労いの言葉は、一歩間違うと上から目線の嫌味にとられてしまう可能性もあります。目標を達成して「凄い」という意味の言葉をかければ、すれ違いも起こらないでしょう。
出社や退社時のあいさつ
労いの言葉は、日常的にかけても問題ありません。むしろ積極的に、何気なく日々の言葉として労いの言葉を周囲にかけるようにすると場が和みます。退社時には必ず、「お疲れ様」の言葉をかけ合うようにするのも効果的です。
普段はあまり会話をしなくても、「お疲れ様」のたった一言で印象が良くなります。毎回心を込めてあいさつを交わすようにすれば、誰でも一日一回は確実に労いの言葉を受けるようになって、モチベーションアップにつながるはずです。
「労いの言葉」のかけ方は?
労いの言葉は、タイミングや言葉の選び方などに気を配ることも大切です。
タイミングや人間関係も見計らうのが効果的で、逆にちょっとしたことで相手に不信感を与えかねない点も忘れないようにしましょう。人間関係別に使い分けたい労いの言葉のかけ方について、紹介します。
上司には上から目線にならず褒める
部下から上司に対して、労いの言葉をかけるシーンもあります。上司にも、誰かに褒めてもらって当然な苦労があるものです。
とはいえ、上司はあからさまに周囲に苦労を見せるわけにはいきません。そんな気持ちを思いやって、「お疲れ様です」と言葉をかけるのが部下からの労いになります。
部下から上司に対して労いの言葉をかけるとき、どんなフランクな上司でも使わないように気を付けたい言葉があります。
それは、「ご苦労様」です。上下関係を問わず「ご苦労様」が使われていた時代もあるようですが、現代では「ご苦労様」には2つの真逆の意味があります。
1つは相手の苦労を労うあいさつですが、もう1つは相手の努力や苦労をあざ笑う言葉です。悪い意味にとられてしまわないよう、上司を労うときには必ず「お疲れ様」を使うのが賢明です。
部下には心から気遣いを持って
上司から部下に労いの言葉をかけるシーンは、部下から上司に対して労いの言葉をかける割合より多いでしょう。
部下としては、これだけ頑張ったのだから労いの言葉をかけられて当然という気持ちがどこかにあるかもしれません。ところが上司は、さらっと何事もなかったかのように「お疲れ様」と一言で流したと、不満に感じる可能性があります。
「お疲れ様」の短い一言でも、どんな風に声をかけるかで伝わり方が違ってきます。部下の顔を見て声をかける、当人に向けて言っているのだとわかるようにハッキリと声をかけるなど、心からの気遣いを示すようにするのが効果的です。
同僚にはちょっとしたことでも感謝の気持ちを表して
同僚には、労いの言葉などわざわざかける必要がないと思う方もいるかもしれません。しかし、同僚こそ微妙な立場や心境をわかってくれる存在です。
何でも打ち明けやすい同僚から労いの言葉をかけられたら、誰でも感激します。上司や部下から同じ言葉をかけられるより、心を動かすかもしれません。
些細なことでも、同僚に感謝の気持ちを示す労いの言葉をかけてみてください。お互いに労いの言葉をかけ合えるようになれば、さらに絆が深まり、職場の環境に良い影響を与えることになるでしょう。
友人には日頃お世話になっていることへの感謝の気持ちを伝える
友人に労いの言葉をかける機会も、少なくありません。日頃お世話になっている感謝の気持ちを伝えたいときには、「ありがとう」の一言が効きます。
頑張っている友人には、「お疲れ様」と声をかけるのもよいでしょう。「頑張ったね」「無理しないでね」「大丈夫だよ」「助かった」などの言葉も、気軽にかけられるのではないでしょうか。
他の人に労いの言葉をかけづらいという方は、友人に声をかけることから習慣づけてみるのもいいかもしれません。
恋人や夫婦は愛情を込めた素直な気持ちを伝える
長くつきあっている恋人同士や夫婦の間では、労いの言葉どころかあいさつすら省略してしまうことがよくあります。いつまでもフレッシュな関係を保つためには、愛情を込めた労いの言葉をこまめにかけるようにするのがおすすめです。
5文字や6文字のたった一言が、愛情となって相手に伝わります。ギクシャクしてきたときも、素直な気持ちで労いの言葉をかけ合うことで上手くいくようになるでしょう。
「労いの言葉」を伝える際に使いたい7つのワード
労いの言葉を伝えるときに、難しい言葉を考える必要はありません。ここで紹介する7つのワードは、誰でも知っている単純な言葉ばかりです。
これらは全て、労いの言葉として使えます。どんな風に使えばよいか、見ていきましょう。
お疲れ様
お疲れ様は、仕事が終わったときのあいさつ言葉としてもおなじみです。といっても、あまりに日常化された言葉ゆえに、心を込めて使ったことは少ないという人もいるのではないでしょうか。
使えるシーンが多いからこそ、心を込めて声に出したい「お疲れ様」。何事か成し遂げた人に、毎日頑張っている人に、人知れず努力している人に、心からの「お疲れ様」を送ってみませんか?
ありがとう
社会生活において、他人にお世話になるシーンは数えきれないほどあります。お世話になったことに感謝の気持ちを述べる言葉が、「ありがとう」です。子どもが幼いうちから教えられる言葉としても、重視されています。
ところが、大人になると素直に「ありがとう」の気持ちが出てこないことが増えてきます。照れくさかったり、わざわざ言うほどのことでもないだろうと省略しがちになっていませんか?「ありがとう」は、いくら言っても迷惑になりません。小さなことでも、「ありがとう」と声をかける習慣を身に付けておきたいものです。
ご苦労様
ご苦労様は、一般的に目上から目下にかける労いの言葉です。「お疲れ様」「ありがとう」といった意味を持ち、宅配の配達員さんなどに使う人も多いでしょう。
職場では上司から部下に対して使われることもありますが、どちらかといえば「ありがとう」に変えて声をかけたほうが聞こえがよい印象もあります。
頑張ったね
「お疲れ様」によく似た言葉に、「頑張ったね」があります。どちらかといえば年上から年下に対して「よくやった」という意味で使われる言葉ですが、仲間同士で使うこともあるでしょう。
「頑張ったね」と言われて素直に「ああ、頑張ったな」と共感できると、ほっとします。認められたと思える瞬間でもあり、相手の努力を大いに労いたいときに使える言葉です。
ただし、使い方によっては「頑張ったね」が上から目線に聞こえてしまうときもあります。相手との関係性によって誤解されかねない言葉でもありますから、使う相手は選ぶようにしましょう。
無理しないでね
「無理しないでね」は、相手が過剰な努力をしているときに注意するためにかける言葉です。その真意は、相手を心配する気持ちでしょう。
無理して体を壊したり、やり過ぎて失敗してしまうこともあります。せっかくの努力が水の泡になるのは惜しいので、「無理しないで絶妙な加減にしてね」とアドバイスしているのです。
声をかける側の相手を思いやる気持ちではありますが、頑張っている相手にしてみれば素直に受け取れないこともあるかもしれません。声をかけるタイミングには、配慮したほうがよいでしょう。
大丈夫だよ
「大丈夫だよ」に込められている意味は、信頼です。あなたを信じているから「大丈夫だよ」という意味、あるいは自分の言葉を信じて「大丈夫だよ」という意味を持っています。
ともかく、「大丈夫だよ」と言われると何だか安心感が湧いてきます。ハッキリした根拠がなくても、「大丈夫」を共有できるような感覚にもなってくるでしょう。
使われる割合は少なめの労いの言葉ですが、相手と信じるものを分かち合いたいというときは「大丈夫だよ」を使ってみてください。
助かるよ
「助かるよ」「助かったよ」には、2つの意味があります。1つは感謝の気持ちで、もう1つは褒め言葉です。いつも当たり前にしていることに「助かるよ」と言われたら、嬉しくなります。
良いことをしているのだとモチベーションが高まり、明るい気持ちになれるでしょう。いつもはしていないことをしたときは、こんなことをしてよかったのか、こんなやり方でよかったのかとドキドキの心境になります。
そんなとき「助かったよ」と言われたら、一気に肩の荷が下りたような安心感が訪れるでしょう。「助かるよ」は、感謝や称賛を伝えたいときにかけたい労いの言葉です。
まとめ
労いの言葉は、ほんの一言なのに相手を喜ばせたり安心感を与えたり、やる気を出させることができます。
なかなか労いの言葉を出せないという方も、ここで紹介した7つのワードから気軽に始めてみませんか?