猜疑心とは?
猜疑心という字面からもポジティブな印象は受けませんが、実際にあまりいい言葉ではありません。その一方で、猜疑心を持っている人は意外にも多いと言われています。
相手の行動を疑ったり妬んだりする気持ち
猜疑心と聞くと小難しく感じますが、簡単に言えば誰かを疑ってしまうことや、嫉んでしまう気持ちを指す言葉です。生きていれば少なからず、このような気持ちが出てくることはあります。ただし猜疑心と呼ばれるくらいになると、かなり強い疑いや嫉妬の気持ちを抱いている状態です。
猜疑心が出てくる原因は人によってさまざまですが、疑ってばかりいると精神的にも疲れます。そんなマイナスな感情ばかりにとりつかれていると、周囲の人を肯定的な目で見ることができなくなってしまい、人間関係にも影響を及ぼすでしょう。
猜疑心を持つ人は多い
猜疑心を持っている人は少なくありません。なぜなら誰しも、完全には人を信用してなかったり、どこかに嫉む気持ちを持っていたりして当然とも言えるためです。
ただし猜疑心を持っているにしても、その程度や度合いには個人差があります。猜疑心が悪化していくと人を信じることができなくなり、やがて人からも信用されなくなるかもしれません。
猜疑心が強いと相手の気持ちを傷つけることがある
猜疑心があまりに強いと、人を傷つけることにもつながってきます。自分がこんな目に遭うのは、相手のせいだと考えてしまうことが原因です。何かと他人の言動や行動が気になり、次第に嫉むことに対しても嫌気がさして、責任をなすりつけたくなります。
猜疑心を持たれる側も、何となく自分が疑われていることや嫉まれていることを察知するものです。態度や言動の端々から、「嫌われているかもしれない」と感じるようになるでしょう。嫌われて気分がいい人などいません。結果、こうした状況は人の心を傷つけることになります。
猜疑心が強いと損をすること
猜疑心が強い人は損をする機会がとにかく多いです。「この性格のせいで損をしている」「猜疑心をなくしたい」という気持ちがあっても、なかなか自分の疑いや嫉みを消すことはできません。猜疑心が強いとなぜ損をするのか、紹介していきます。
人間関係にストレスを感じてしまう
猜疑心が強い場合、人間関係に強いストレスを感じてしまいます。ストレスが溜まっていくと、少しのことでイライラするように。精神的にも負担がかかって、最終的には人柄にまで影響してくることがあります。
ストレスを感じることはマイナス要素でしかありません。また、ストレスの対象が人になるため、人との関わりが多い仕事をしていると業務に影響が出てくることもあります。
人と付き合っていても楽しくない
猜疑心が強いと、人と付き合っていても楽しく感じないでしょう。これは、一緒にいても心からは信頼できないことが理由です。一緒にいて楽しい人というのは、気が合うことはもちろん、心から信頼できることが条件でもあります。
一方で、猜疑心が強まっている相手と一緒にいることは、他人からしてもストレスでしかありません。自分の気持ちを隠そうと思っても表面に出てきてしまうものです。自分を隠すことができずに、不穏な空気が流れてしまうこともあります。
褒められても心の底から喜べない
猜疑心が強い人は、自分が褒められても心の底から喜ぶことができません。そもそも猜疑心というのは人を疑う気持ちが顕著になっている例です。褒められていることに対しても、「本音ではないのではないか」と疑いの目を向けてしまいます。
心の底から喜ぶためには、猜疑心を捨てなければなりません。しかし、一度出てきた猜疑心を消すことは難しいのが現実です。褒められるという本来なら喜ぶべき場面でも、猜疑心があることによってすべてがマイナスになってしまいます。
人を信じられないので頼れない
人を信じることができないことから、他人を頼ることにも抵抗が出てきます。頼れないのではなく、頼って裏切られることが脳裏によぎってしまうためです。
人を信じることができない弊害は、さまざまなところで現れてきます。ひとりではどうにもできない状況でも、人に頼れません。最終的には、自分自身が大変な思いをすることになるでしょう。
空気を壊すため嫌われやすい
猜疑心が強い人は、その気持ちを完全に消すことがなかなかできません。周囲にいる人も何となく、疑われていることや嫉まれていることに気付いているもの。そのため猜疑心が強い人は、一緒にいる人までをも疲れさせます。
また猜疑心が強い人は、周囲から見ると「空気を壊す人」という認識を持たれていることも。空気を壊して嫌われてしまうことで孤立してしまい、ますます猜疑心が強くなるという悪循環に陥ることもあります。
婚期が遅れてしまいがち
猜疑心が強い人は人を信じることをしませんが、そのことによって婚期が遅れてしまうケースもあります。たとえ相手が恋人でも、一生を共にするとなると不安がよぎってしまうためです。結婚したいという気持ちがある人にとっては、致命的とも言えるでしょう。
異性に対してポジティブなイメージを持ってない人も多く、疑いの目を向けてから接しがちです。他人の気持ちに対して敏感な人は、猜疑心を持たれていることにも気付き、離れていってしまいます。
ストレスが原因で体調を崩しやすい
猜疑心が強い人は、そうでない人に比べるとストレスを抱えやすい傾向にあります。ストレスが溜まってしまうことで心のモヤモヤが増大して、体調に影響してしまうケースも少なくありません。
ストレスを感じる度合いというのは、個人差があるのが特徴です。常にストレスを感じているというわけではありませんが、人と接している機会が多いほどストレスを感じやすいです。体調不良が続き、正常な思考ができなくなって猜疑心が悪化するケースもあります。
猜疑心の強さが仇となること
猜疑心が強いことによって損をすることはたくさんあります。プライベートだけでなく、ビジネスシーンにおいてもその性格が仇になるかもしれません。猜疑心を持つことがどんなマイナス要素に影響していくのか紹介します。
仕事で褒められると失敗しているのではと心配になる
猜疑心が強い人は物事を深読みしてしまう傾向にあります。たとえば仕事をしているときに、上司や同僚から褒められても、それを正面から受け取ることができないのです。褒められていることを裏読みし、何か失敗してしまったのではと気に病んでしまう傾向に。
褒められるということに対して、信用できないことが理由です。せっかく会社の中で活躍する機会があっても、猜疑心が邪魔をすることで自分の自信にはつながりません。屈折的な考えは仕事においてデメリットでしかないでしょう。
好きだと告白されると結婚詐欺だと思ってしまう
猜疑心が強い人は、自分に自信がない傾向にあることも特徴です。異性から告白をされたときに、その告白が心から好きという気持ちから出ているのではなく、「結婚詐欺ではないか」と疑ってしまいます。
現実に結婚詐欺に遭う可能性は、結婚する可能性に比べるとかなり低いです。しかし、自分にはネガティブなことが起こると思い込んでしまっているため、喜ばしい状況でも結婚詐欺に遭うというような考えに至ります。
仲の良い人がいても裏では悪口を言っていると思う
猜疑心が強い人によくあることと言えば、「自分は裏で悪口を言われている」と思っていることです。関わりが少ない人だけでなく、普段からよくしてくれている仲の良い人でさえも、陰口を言われていると感じます。
もちろん悪口を言われてない可能性のほうが、現実的には大きいでしょう。しかし一度思い込んでしまうと、その考えを拭い去るのはかなり大変です。これが猜疑心の強い人の特徴であり、疑いの目ばかりを向けていることで距離を置かれることにもなりかねません。
すべてにおいて人間不信になる
人間不信になる人の多くは猜疑心が強い人です。1のネガティブな現象を10の現象として捉えてしまいます。ネガティブな要素が強くなればなるほど、デメリットしかありません。人間不信になってしまうと、さらに猜疑心が強くなるという悪循環につながるでしょう。
疑いの感情に疲れ、「もう誰とも深く関わりたくない」とすら感じることも。人間不信にならないためにも猜疑心を捨てることが大切です。自分から人間を信じない限り、人に信じてもらうことはできません。
猜疑心が強くなってしまった原因
猜疑心はどんな風に育っていくのでしょうか。最初から猜疑心が強い人は少なく、成長する過程の中で少しずつ現れてくるのが一般的です。ここでは猜疑心が強くなってしまう原因について紹介していきます。
幼少期の家庭環境
誰もが心の奥底に持っている猜疑心ですが、対人関係に影響を及ぼすほどであることは稀です。そこまで強い猜疑心を持つ人というのは、疑いの目や嫉妬する気持ちが大きくなったきっかけがあります。
その多くは、幼少期の家庭環境にあるとも言われます。十分な愛情を受けることができなかった、家族のトラブルに巻き込まれたなどがその例です。家庭環境が悪くなればなるほど、猜疑心は大きくなっていく傾向があります。
学生時代のいじめ
多感な学生時代はいじめに遭うリスクも高いと言えます。いじめに遭ってしまうと当然、人を信じることも難しくなるでしょう。すると猜疑心が生まれて、人を信用する心が低下してしまいます。
学生時代にいじめられるきっかけや原因は、人によってさまざまです。しかし、心に深い傷を負うという点では共通しています。心の傷が猜疑心を強めることになり、人との関係に影響を及ぼすのです。
過去に騙された経験
猜疑心が強い人は、過去に騙された経験を持っているケースがほとんどです。騙されると言っても「親に見放された」「親友に悪口を言われていた」などいろいろなパターンがありますが、信頼していた相手から騙されるほど猜疑心は芽生えやすいです。
騙された経験を持つ人は、それがトラウマになってしまい、二度と騙されないようにと人に疑いの目を向けるようになります。自分を守るために猜疑心が強くなっていく、悲しい防衛反応です。
失恋のトラウマ
失恋をきっかけに、何も手が付かなくなる人は少なくありません。この場合、あまりいい別れ方をしていないケースがほとんどです。キレイに別れることができればいいのですが、浮気や不倫、借金などが原因で別れることになると、異性を信じられなくなります。
好きな人に裏切られることほど辛いことはありません。ひどい別れ方がトラウマとなり、猜疑心を生むきっかけになります。このトラウマを自力で解消することは難しく、だんだんと猜疑心は育っていくことも。
妬みや誤解を受けやすい
猜疑心が強い人は、自分自身も疑いや嫉みの対象となることが多いです。猜疑心を持つ人ほど猜疑心を持たれやすいという相互関係にあり、疑えば疑われるという人間関係をよく表しています。
さらに猜疑心が強い人は、自分がどう思われているかということに対して敏感です。嫉みや疑いの目を向けられたとき、いち早く察知するでしょう。このようなねじれた対人関係が、猜疑心を強くする原因になります。
何かしらのコンプレックスを持っている
猜疑心が強い人は何かしらのコンプレックスを持っているものです。コンプレックスがあると、自分に自信を持つことができません。また誰に何を言われたわけでもなく、人から疑われていると考えてしまいがちです。
コンプレックスを持つことはマイナスに働く場合も多く、しかしそれに気付くことはなかなかできません。人から疑いの目を向けられていることに気付いたとき、さらに人を信用する気持ちが失われていきます。
他人と比べて評価する習慣
猜疑心が強い人は、常に相対的な自分の価値を考えています。つまり、他人と比べて評価する習慣が身についてしまっているのです。「人は人」という考え方ができないために、疑いや嫉妬の気持ちを生みます。
他人と比べて評価することには何のメリットもありません。しかし猜疑心が強い人は、そこまで余裕を持った思考ができないのです。結果的に自分の中で思考を悪循環させてしまいます。
猜疑心の強さを解消する方法
猜疑心の強さは努力次第で解消することも可能です。性格の一部なのですぐに変えることはできませんが、意識を変えて継続することで改善していくでしょう。具体的な方法を以下でご紹介します。
ダイエットを始めてみる
猜疑心の強さを解消するために、ダイエットを始めてみてはいかがでしょうか。猜疑心がダイエットにつながるのは不思議に思うかもしれません。しかしダイエットという目標があると、ベクトルが人ではなく自分に向いて猜疑心が解消されやすいのです。
スポーツジムに通って定期的に運動する
スポーツジムに通うことも、猜疑心を解消するために有効な方法です。スポーツジムで汗を流して運動するうちに自分に自信がつきます。疑われることや嫉まれることに対してそこまで深く考えることもなくなっていくでしょう。
ファッションやメイクを工夫する
ファッションやメイクを工夫して自分磨きをすることも、猜疑心の解消に有効な方法です。いつもと違う自分を作ることで、猜疑心を感じにくくなります。また純粋に、かわいくなると自分に自信が持てるようにもなるはずです。
ボランティアに参加する
ボランティアに参加することも、猜疑心を取り除くうえで有効な方法です。猜疑心は自分の自信のなさから作られることも多いもの。ボランティアを通して人に貢献することで、猜疑心が取り除かれることもあります。
まとめ
猜疑心を持っている人は少なくありませんが、強くなるすぎるのは考えものです。人を疑う気持ちや嫉妬する気持ちは、対人関係を難しくします。猜疑心を取り除くためにも生活を見直して、まずは自分に自信を持つことから始めましょう。