切り花を長持ちさせる10のコツ
フラワーショップで買ってきた花やプレゼントされた花をそのまま花瓶に差したままにして、すぐに枯れてしまったという経験はないでしょうか。
切り花はメンテナンスをきちんとすれば寿命を延ばすことができます。切り花を長持ちさせる10のポイントについてまとめました。
1.水につかる余分な葉を取り除く
茎を途中でカットされた状態の切り花は、カットした後も茎から水分や栄養分を吸収します。切り花を花瓶に生ける際に葉が多すぎると、葉から出ていく水分が増加することから早く枯れる原因となります。水に浸かる余分な葉を取り除いてから花瓶に差すようにしましょう。
2.清潔な容器に活ける
花瓶に生ける際には水だけでなく花瓶となる容器を清潔にすることにも配慮が必要です。可能であれば使用する前に容器を熱湯消毒するといいでしょう。
切り花が長持ちしない原因には水分や栄養不足とともに雑菌の繁殖があります。細菌や微生物が繁殖することによって水が腐り、それを吸収する花に影響を及ぼすのです。切り花が密集しないように広口の花瓶を選ぶことも大切でしょう。
3.清潔な水を入れる
清潔な水は切り花を長持ちさせるための最も基本となるポイントです。こまめに水を取り替えていつも清潔な状態を保つように心がけましょう。
ミネラルウォーターはバクテリアが発生しやすいという説もあるため、汲みたての水道水を使うのがおすすめです。水替えをする場合は、花瓶もスポンジなどを使用してしっかり洗うことで清潔な水を維持することができます。
4.不要なつぼみを摘む
切り花はまだ開いていないつぼみから楽しむこともできます。つぼみがたくさんあれば開花の楽しみも増えます。しかし、つぼみは開花するための栄養を必要とするためあまり多すぎると花全体の寿命が短くなってしまいます。
たくさんのつぼみがついている場合は、開花した花が長持ちするように不要なつぼみをあらかじめ摘んでおくようにしましょう。
5.茎の根本を1センチくらいカットする
買ってきた切り花をそのままで花瓶に生けるよりも、茎の根本を1センチ程度カットした方が長持ちします。これはカットすることで切口を新鮮に維持することができ、水分の吸収率がアップするためです。
カットする場合はまっすぐではなく、斜めに切った方が断面積が広くなってより水分を吸収しやすくなります。背が高い切り花の場合は思い切ってカットしても問題はありません。
6.花瓶に入れる水は適量
鉢植えの水は鉢の受け皿に水があふれるぐらいたっぷりと水をやるといいと言われます。一方、切り花の場合は花瓶にあまりたっぷりと水を入れると、吸水が追い付かずに茎が傷みやすくなります。
花瓶に入れる水の量は、底から3~5センチぐらいで少し浅めにしてあげた方が長持ちするでしょう。茎が水に触れる面積がなるべく小さくなるように注意することが必要です。
7.毎日水を変える
切り花を生けた花瓶の水は毎日替えるのが基本です。花は新鮮で清潔な水を好みます。また、水替えを怠るとバクテリアなどの雑菌が繁殖して水が腐敗し、切り花の寿命が短くなります。
水だけを替えても雑菌などの汚れの跡が花瓶についたままになることもあります。水替えをする場合は2~3回に1回は花瓶もきれいに洗うようにしましょう。
8.水を変えるタイミングで茎を少し切り直す
水替えの際に茎を少しだけ切り直すことで切り花の寿命を延ばすこともできます。茎の切口から徐々に傷むため、そのままの状態では十分に水を吸い上げることができなくなってしまいます。
毎回水を替えるタイミング、または少なくとも2~3日に1回くらいは茎の先端を少し切り直すようにしましょう。清潔でよく切れる剪定ばさみを使って、斜めに切ることがポイントです。
9.切り立ての花をお湯につける【湯揚げ】
切り花は茎をお湯につける湯揚げといわれる作業によって長持ちさせることができます。これは、お湯につけることによって導管内の空気を外に押し出し水分の吸収力をアップすることを目的としたものです。
切ったばかりの花の茎の部分を43.5度のお湯に20秒ほどつけて、すぐに冷水に入れ替えます。2時間ほど涼しい場所で放置すれば葉の先端まで水を吸収するでしょう。
10.切り花延命剤を使う
切り花を長持ちさせるために最も効果が期待できるのが園芸店などで販売されている延命剤です。延命剤には糖分や金属イオンなどの栄養分がバランスよく配合されているので、水に花瓶の水に混ぜるだけで寿命を延ばすことができます。
延命剤には抗菌効果の高い成分も含まれており、雑菌の繁殖による茎の傷みや花枯れを防いでくれる効果も期待できます。
これで長持ち!花瓶を置く場所のポイント
切り花を長持ちさせるためには、切り花の手入れや清潔な水の交換などが重要なポイントとなります。その一方で、花瓶を置く場所も花の寿命に大きく影響します。切り花を長持ちさせるための花瓶を置く場所のポイントについてまとめました。
エアコンの風が直接当たらない場所
花は夏には涼しく、冬には暖かい場所を好みます。エアコンは植物に季節によって変わる寒暖差を感じさせない便利なアイテムです。しかし、エアコンの風が直接当たる場所に花瓶を置くと乾燥してしまいます。
切り花を長持ちさせたいのであれば、温風や冷風が直接当たる吹き出し口付近に花瓶を置くことは避けましょう。部屋のなかが適温であればそれだけで十分です。
涼しい所
一般的に切り花は風通しの良い涼しい場所を好みます。室温を低めにするか花瓶を玄関などの涼しい場所に置くようにしましょう。寒い時期には暖房を入れることがありますが、設定温度が高すぎたり湿度が高くなりすぎたりすると水が濁って雑菌が繁殖しやすくなります。
人間にとってはちょっと寒いと感じるくらいがちょうどいいでしょう。
直射日光の当たらない場所
直射日光は花や葉の水分の蒸発を促進するだけでなく、水の中のバクテリアなどの雑菌の繁殖にもつながります。また、直射日光に長く当たることで花が早く枯れてしまうこともあるでしょう。
植物は暗くなると葉の裏の気孔を閉じて水分の蒸発を抑える働きがあります。直射日光が当たる明るい場所での置きっぱなしにも注意しましょう。
長持ちさせる方法として有名なコツの真偽
雑誌やネットなどをみるとさまざまな切り花を長持ちさせる方法を見つけることができますが、実際に効果があるのでしょうか。長持ちさせる方法として特に有名な方法の真偽についてみてみましょう。
砂糖水を混ぜる:NG
砂糖水を混ぜることによって切り花を長持ちさせる方法も有名です。糖分は花の養分になるため、花を元気に保つことはできるでしょう。
しかし、花の養分になる糖分は他の細菌の養分にもなります。水道水に比べると雑菌が繁殖しやすくなるため、結果的に花が長持ちしません。また、糖分濃度が高いと葉のついた花に悪影響を及ぼすこともあります。
重曹を入れる:NG
重曹は炭酸水素ナトリウムのことであり、除草剤などにも使用されることがあります。切り花を入れた花瓶に加えると2~3日ほどで白く水が濁り、5日目ぐらいになると花がしおれるでしょう。
切り花を長く持たせるためには殺菌と栄養が必須となります。しかし、重曹には栄養素は含まれていないだけでなく、長時間水を殺菌するだけの効果は期待できません。
ほんの少しだけハイターを入れる:OK
ハイターなどの漂白剤が切り花の延命に効果的であるとも言われます。漂白剤には殺菌作用があるため、水が腐敗するのを遅らせてバクテリアなどの細菌の繁殖を抑える効果が期待できます。
ただ、花を長持ちさせるための栄養補給や水上げ効果は期待できません。2、3滴程度が適量で、入れすぎると花や茎の色が脱色されてしまうこともあるので注意が必要です。
気の抜けた炭酸飲料水を入れる:OK.
気の抜けた炭酸飲料水を切り花にやると通常の4倍ほど切り花の寿命が延びると言われています。炭酸飲料に含まれる果糖やブドウ糖などは粒子が小さいため、養分として吸収されやすいことがその理由です。炭酸が強すぎると花に影響を及ぼすため、十分に気が抜けた状態で入れるようにしましょう。
まとめ
切り花は、そのまま花瓶に生けるのとちょっとしたコツを押さえてケアするのとでは花の寿命に大きな差がでます。切り花を長く持たせるには、清潔な水、養分、温度や日光に配慮した置き場所など、いくつかのポイントがあります。手間のかからない簡単な気遣いで、きれいな花を少しでも長く楽しみましょう。