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セスキ炭酸ソーダの特徴
セスキ炭酸ソーダは、専門的な成分名です。家事や掃除の業界では広がりつつありますが、多くの人にとっては未知の存在でしょう。簡単に説明すると、1%の水溶液にすると、ph9.8程度の弱アルカリ性になる薬品です。この性質があるからこそ、掃除に役立てることができるのです。主に、以下のような特徴があります。
手荒れがしにくい
掃除のとき、何かと気になるのが手荒れのリスクでしょう。セスキ炭酸ソーダには、肌にやさしいという特徴があります。
アルカリ性は、肌を傷つけることにつながる性質です。ですが、洗浄力に期待できるため、多くの洗剤に使用されています。セスキ炭酸ソーダは、そんなアルカリ性質が穏やかなので、しっかり洗浄をおこないつつ、肌にはあまり刺激を与えないと言われています。
サラサラしたテクスチャー
炭酸ソーダと聞くと、身近な飲料を思い浮かべる人が多いかもしれません。ですがセスキ炭酸ソーダは、大きく異なります。口に入れるのはまず厳禁ですし、また液体ではなく細かな結晶体にで販売されているのが一般的です。テクスチャーとしては、サラサラとしているのが印象的です。
セスキ炭酸ソーダを購入したら、そのままではなく水に溶かします。こうして希望の濃度の水溶液を作って、使うのです。液体でない分、保管がしやすい、好みに合わせて濃度調整できるといったメリットがあります。
洗浄力は高い
肌にやさしい洗剤成分という特徴は、かならずしもメリットにはならないかもしれません。なぜなら、その分汚れへの作用も落ちるような印象が感じられるためです。セスキ炭酸ソーダは、一般的な石鹸などと比べると、やや洗浄力に劣ります。ですが、汚れを落とす上で十分な洗浄力の高さがあります。
それも、一般的な洗剤では対応が難しいような、皮脂や油、血液などの汚れにも使える優れものです。肌への刺激が少なく、それでいて落としにくい汚れに適している、そんな理想的な存在なのです。
常温でも長時間の保存が可能
前述の通り、セスキ炭酸ソーダは液体ではなくサラサラとした結晶体で売られています。これにより、腐敗や変質のリスクが少なく、常温での長期保存が可能となっています。使用のたびに使う分だけ水に溶かして洗浄液を作るようにしておけば、長く使い続けられるでしょう。
ただ、乾燥した状態で保管することを忘れてはなりません。というのも、湿気を吸い込むと固まって使いにくくなるという性質を有しているためです。汚れが出やすい、水場などに置いておくと使いやすく感じられるかもしれませんが、湿気にさらさないよう注意しなくてはなりません。
一般的な洗剤よりも環境への負荷が少ない
セスキ炭酸ソーダは無機物であるため、自然に放出されても生分解の必要がなく、環境への負担が少ないです。界面活性剤を使用している一般的な洗剤以上に、環境にやさしいといわれているほど。環境を考える場合であっても、セスキ炭酸ソーダは魅力的なのです。
弱いながらもたんぱく質の分解ができる
汚れの中でも、特に落ちにくい部類に入るのが、たんぱく質汚れです。汗や皮脂、手垢、肉の脂などがそのひとつであり、染みついたりこびりついたりすると、通常の洗剤ではなかなか落ちません。セスキ炭酸ソーダは、そんな汚れにおいても効果的に作用してくれます。
ただ、強力な効き目を期待できるかといえば、そこまででもありません。弱アルカリ性の性質であるため、分解をするものの、作用は穏やかです。軽度のたんぱく質汚れに向いていると、覚えておきましょう。
少しだけ油脂を乳化できる
キッチン環境を掃除するとき、特にやっかいなのが油汚れでしょう。ベタベタにこびりついていると、なかなか落ちてくれません。その点、セスキ炭酸ソーダは油分と水分をかくはんさせる、いわゆる乳化の作用を少しだけ有しています。
つまり、こびりつきを穏やかにしながら洗浄できるというわけです。やっかいなキッチン掃除を少し楽にしてくれる、便利な存在に感じられるでしょう。
万能!セスキ炭酸ソーダの活用方法
セスキ炭酸ソーダを語る上で、掃除や洗浄ができるシーンの幅広さは外せません。セスキ炭酸ソーダひとつ用意しているだけで、家のさまざまな箇所に役立てることができるのです。中でも代表的な活用シーンを紹介します。
浴槽の掃除
セスキ炭酸ソーダは、弱アルカリ性の性質です。アルカリ性の中でも弱い部類に入るため、浴槽掃除に使用する中性洗剤の代わりとして役立てることができます。
水溶液をスプレーして、スポンジでこすり洗いしてください。
キッチンの油汚れ
キッチンの油汚れは、まさにセスキ炭酸ソーダの得意とするところです。ですが、しつこくこびりついた汚れには、特別な使い方をする必要があります。
基本は水溶液をスプレーしたあとこするだけで問題ありませんが、しつこい場合は、スプレーのあとキッチンペーパーでパックしてください。成分をしっかり浸透し、汚れを落とすことができます。
コンロの油汚れ
キッチン汚れの中でも、コンロの油汚れは特に落としにくいです。そのため、つけおき洗いをおこなってください。
大きめの容器にお湯を入れ、そこにセスキ炭酸ソーダを混ぜ入れます。
そこにコンロ用品をしばらくつけて、汚れを浮かせてから洗いましょう。
洗濯洗剤
洗濯時に使用する洗剤としても、セスキ炭酸ソーダは単体で役立ってくれます。肌にやさしい性質を持つため、敏感肌の人などは安心感が得られるでしょう。分量は、水30リットルに対して大さじ2杯前後が理想的です。
ワイシャツの襟元の汚れ
汗や皮脂による汚れが定着したワイシャツの襟元については、特別に落としにくく感じられるでしょう。セスキ炭酸ソーダ水溶液を使ったつけおきや、お湯で作った水溶液で手もみ洗いなどをして集中的に洗ってください。
ドアノブなどの手垢
毎日触れているドアノブもまた、気付かないうちに手垢汚れが溜まってしまいやすい箇所です。ですが、キッチン汚れほどしつこくないので、セスキ炭酸ソーダがあれば比較的楽に落とせます。まんべんなくスプレーしたのち、磨いて落としてください。
血液汚れ
血液が付着してしまうと、ワイシャツの襟元以上にやっかいです。落ちにくい上、目立つ汚れとなってしまうためです。こちらも、水溶液につけおきしてから洗いましょう。セスキ炭酸ソーダが特に得意とする汚れであるため、きれいな状態に近づけられるでしょう。
おすすめのセスキ炭酸ソーダ:粉末タイプ
セスキ炭酸ソーダの基本は、細かい結晶による粉末状態です。分量を調節しやすく、使い勝手がよく感じられるでしょう。以下の商品は、特におすすめです。
NICHIGA(ニチガ) セスキ炭酸ソーダ 5kg
5キロ入りの大容量タイプです。水に溶けやすいため、水溶液を作るときスムーズでしょう。小さじ1杯で約500ミリリットルのスプレーが作れるため、ひとつ購入しておくだけで、長く役立てられます。
第一石鹸 KC キッチンクラブ セスキ炭酸ソーダ 1kg
セスキ炭酸ソーダは、保管に注意すべき洗浄成分です。前述の通り、湿気が入ってしまうと固まってしまうためです。この製品は、パッケージにチャックがついているため、湿気に影響されにくく良好な状態で保管しやすいです。
おすすめのセスキ炭酸ソーダ:スプレータイプ
セスキ炭酸ソーダの粉末をすでに溶かした、スプレータイプで売られているものもあります。水溶液を作る手間が省けるので、すぐに使いたい人におすすめです。
レック (LEC)セスキの激落ちくん 密着泡スプレー 洗剤 500ml
セスキ炭酸ソーダは効果的な洗浄成分ですが、水溶液にすると汚れに定着させられないという特徴も伴います。だからこそ、前述のようなパック作業も必要になってきます。その点このスプレーは、密着性に優れた泡を吹きかけられるため便利です。
セスキ炭酸ソーダでは落としにくい汚れ
あらゆる汚れに役立つセスキ炭酸ソーダですが、もちろん万能というわけではありません。苦手とする汚れも、存在します。セスキ炭酸ソーダが苦手とする汚れについて、ご紹介します。これらに関しては、一般的な界面活性剤や漂白剤の方が適しているでしょう。
泥汚れ
子供が遊びでつけた汚れやスポーツで着るユニフォームについた汚れなどには、泥汚れが少なくありません。そんな泥汚れについて、セスキ炭酸ソーダは使わないようにしてください。弱アルカリ性の成分では、対応しきれないためです。
衣類やハンカチのシミ
ワイシャツの襟元についた程度の汚れであれば、セスキ炭酸ソーダのつけ置きでも対応できるかもしれません。ですがしっかり定着したシミについては、効果はあまり期待できないでしょう。多少の変化は見られるかもしれませんが、洗濯機専用の漂白剤の方が効果的です。シミの度合いによって、使い分けるべきでしょう。
車や機械などの頑固な油汚れ
油汚れに適したセスキ炭酸ソーダですが、汚れの種類によっては機能しない場合があります。車や機械などで使用する油でついた頑固な汚れは、落とせません。ほとんど無力といってもいいほどに、変化が見られないのが実際のところです。同じ油汚れでも、種類によって適性が変わってくるので注意してください。
口紅の汚れ
口紅もまた、ふとした瞬間に衣類についてしまうことがある存在でしょう。皮脂やたんぱく質と異なるため、むしろ落ちやすいように思えるかもしれませんが、セスキ炭酸ソーダはあまり効果を発揮できません。こちらもやはり、洗濯機専用の漂白剤をもちいるべきです。
セスキ炭酸ソーダの使用上の注意点
確かに、セスキ炭酸ソーダは肌にやさしく比較的安全ですが、弱アルカリ性とはいえ、刺激の伴うアルカリ性に変わりはありません。扱い方を間違えると、トラブルにつながるケースも考えられます。以下の注意点を押さえた上で、使用するようにしましょう。
使用するときはゴム手袋をつける
セスキ炭酸ソーダは刺激が穏やかであるため、手荒れが起こりにくいです。しかし、水溶液の濃度や使用する時間によっては影響を受けてしまう場合があります。そのため、ゴム手袋によって手を守るようにしましょう。
保管するときには湿気対策をする
何度か触れていますが、粉末状態のセスキ炭酸ソーダは湿気が入り込むことにより固まってしまい、使いづらくなってしまいます。そのため、湿気の少ないところに置く、しっかり密閉しておく、風通しの良い場所に置くなどして、湿気対策をおこなってください。
口や目に入ったら水で洗い流す
肌への刺激が比較的穏やかですが、粘膜や体内に入ったときなどはやはり危険です。口に入ったり目に入ったりしたら、すぐに水で洗い流すようにしてください。洗い流してもなお刺激が続く場合については、速やかに専門医に相談するべきでしょう。
畳やアルカリなどの腐食する金属には使用できない
セスキ炭酸ソーダを使用する対象に関しても、気をつけなくてはなりません。あらゆるものの掃除や洗浄に役立てられるセスキ炭酸ソーダですが、い草で作られた畳や腐食する金属については、使用を避けるべきです。素材を傷めてしまうかもしれないので、別の方法で掃除や洗浄をおこなうようにしましょう。
まとめ
セスキ炭酸ソーダは、近年注目を集める洗浄成分です。刺激が穏やかであるにも関わらず、あらゆる掃除のシーンにおいて重宝できるためです。正しい使い方を知って、効果的に活用してみてはいかがでしょう。
ですが、セスキ炭酸ソーダが向かない掃除や、注意点も伴うのが実際のところです。特徴を詳しく理解した上で、役立ててください。