糖質制限とは?
ご飯やパン、麺類といった主食の摂取を抑えれば、見違えるように痩せることができる。そんなイメージばかりが先行する糖質制限ダイエットですが、これは当たっている反面、実はそればかりでもないため注意が必要です。
食事の「糖質」をカットする食事法のこと
正しくは、主食となる食品を抑えるのではなく、「糖質をカットする食事法」を糖質制限ダイエットといいます。糖質が含まれているのはご飯やパン、麺類だけと思い込んでしまったら大間違い。糖質は、それら以外のあらゆる食品にも多く含まれているんです。
食品名 | 質量 | カロリー量 | 糖質量 |
はるさめ | 15g | 53kcal | 12.8g |
ヨーグルト | 100g | 11.9kcal | 11.9g |
りんご | 200g(1個) | 114kcal | 28.2g |
グレープフルーツ | 250g(1個) | 95kcal | 22.5g |
糖質制限ダイエットをするときの落とし穴的食材の例をピックアップしてみました。いかがでしょうか。糖質制限量の目安は、1日に60g。上記の食材は、一見、ダイエットに適した食材と思われがちですが、糖質制限においてはあながち当てはまらないわけです。
どの食材にどれだけの糖質が含まれているのか。食材の栄養素を正しく知っておかなければ、いくら主食を抜いても、成果は上がりにくくなってしまうといえるでしょう。
糖質制限をすると体重が落ちる理屈って?
糖質制限ダイエットは、「主食を抑えるから体重が落ちる」というシンプルなイメージを持っている方も多いことでしょう。実は、糖質制限による体重が落ちる理屈は、意外と医学的・栄養学的なふたつの要素を含んでいます。
血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンを抑えてくれる
糖質制限ダイエットで脂肪が落ちるのは、インスリンの分泌を抑えることができるから。糖質の高い食材を食べると、私たちの血糖値は急上昇してしまいます。その急上昇した血糖値を基準値に戻すために、体内で分泌されるのがインスリンです。
インスリンの何が問題かというと、余分な糖質を脂肪として蓄えてしまう働きがあるから。余分な糖質を体内に持ち込まない糖質制限をすると、「インスリンが脂肪を溜め込まない」ようになるので、体重が落ちていくということなのです。
エネルギー源に中性脂肪の利用が増える
余分な糖質を摂取しないことで、体重を落としていく糖質制限。しかし、私たちはエネルギー摂取の60%を主食であるご飯やパン、麺類にたよっているといわれています。これらを抑えるということは、1日に摂取するはずだった糖質量がいつもより足りない計算に。
そこで、不足する糖質を補うのが、すでに体内に蓄積された中性脂肪です。マイナスとなった糖質分の代わりに中性脂肪で代替してエネルギー燃焼させるため、体重がどんどん低下していくという仕組みです。
糖質制限のメリット・デメリット
そんなわけで、一説には「寝てるだけでも痩せていく、効果の高いダイエット法」といわれている糖質制限。しかし、体重を落とす仕組みは医学的・栄養学的な要素がからんでいるため、一歩間違えれば命に関わるようなリスクも潜んでいます。
極端な糖質制限ダイエットになってしまわないように、メリット・デメリットを正しく理解して、健康的なダイエットにつなげていけるようにしておきましょう。
メリット
精神的にも身体的にもプラスになる要素がたくさんあるところが糖質制限のメリットです。とくに、お米やパン、麺類に依存した食生活を送っている″糖質中毒″のような方には、テキメンの効果が期待できるでしょう。
血糖コントロールが良くなる
糖質制限ダイエットをすると、血糖コントロールがよくなります。多量の糖質摂取による血糖値の大幅な上昇を減らせるようになるので、インスリンの大量分泌による機能低下を回避し、実質的な糖尿病予防につながるのです。
体重が減少しやすい
糖質が多く含まれるお米、パン、うどん、パスタ類は日本人の主食。私たちが1日を活動するために必要なエネルギーの60%は、糖質から摂取されているといわれています。そのため糖質制限ダイエットをすれば、高い体重減少効果を見込めるようになるのです。
脂肪が燃焼される
糖質を抑えた食生活では、1日に必要な糖質の不足分を体内にストックされた中性脂肪で補おうとします。そのため、糖質制限でダイエットをすると、自分では減少させることが難しい中性脂肪を燃焼させられるようになるのです。
甘いものへの依存がなくなる
ショートケーキ100gの糖質は約44.1g、ミルクチョコレートは65gで33.7gと、糖質が高すぎるスイーツ。糖質制限ダイエットをすると、甘いものとは自動的にサヨナラすることになります。そのため、甘いものを食べない状況に慣れると、意外に依存を断ち切れるようになるのです。
栄養バランスを意識できる
炭水化物(糖質)・タンパク質・脂質は、人間が活動するうえでの三大栄養素。糖質制限ダイエットの食生活では、糖質を控えめにする代わりにタンパク質や脂質の摂取を増やすようになるため、自然と栄養バランスを意識するようになっていきます。
デメリット
医学的・栄養学的に脂肪が落ちていくシステムの糖質制限ダイエット。そのため、身体に及ぼす被害は素人目にわかりづらいというところがデメリットになります。
腎臓の負担になる
インスリンの大量分泌がなくなり、糖尿病予防につながる糖質制限ダイエット。しかし、今度はタンパク質摂取の増加で、代謝後のタンパク質(老廃物)を排せつする腎臓の負担が増えてしまいます。過度な負担が続くと、尿毒症や腎不全を起こす危険性があります。
便秘になる
主食100gあたりに含まれる食物繊維量は意外に高め。お米では0.5g、ライ麦パンでは5.6g、パスタには1.5gも含まれています。食物繊維の1日における摂取量の目安は18g~20g。栄養バランスを考慮すると、糖質制限ダイエットは便秘を引き起こすタネとなりがちです。
筋肉量が減る
糖質制限ダイエットをすると、体内に溜まった中性脂肪が代わりにエネルギー燃焼されるとご説明しました。しかし、筋肉が決してエネルギー分解されないわけではありません。タンパク質をしっかり補給して、筋トレも取り入れなければ、脂肪と共に筋肉も減少してしまうのです。
人工甘味料の安全性
甘いものにまったく興味がないという方以外は、糖質制限ダイエットでカロリーゼロの人工甘味料を調理時の糖分として多用するようになるでしょう。しかし残念ながら、人工甘味料による身体への安全性は確立されていないというのが現状です。
脂質異常症になりかねない
糖質制限は、糖質摂取を減らす代わりに脂質を増やせるダイエット法。かといって、脂質の摂取を極端に増やしてしまうと、脂質異常症(以前は高脂血症と呼ばれていた)を引き起こし、血管に脂質が詰まったり、動脈硬化になってしまったりするリスクをはらんでいます。
糖質制限ダイエットの方法・やり方を徹底解説!
メリットも大きいけれど、やりすぎてしまうと恐ろしいデメリットがふりかかってしまうのが糖質制限ダイエットです。安全かつ美しく減量できる糖質制限のやり方をご紹介するので、これからスタートしてみようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
一日に摂取して良い糖質量を決める
糖質制限における糖質摂取の目安は、1日あたり60gといわれています。しかし、普段から毎食のようにお米をおかわりする食生活を送っていた人が、急に1食で糖質20g(約1/3杯・60g)にするとなるとかなりの苦痛を伴うことになるでしょう。
そのため、おすすめするのは1日に摂取してよい糖質量を、自分の適量で決めること。糖質制限には「ロカボ」と呼ばれる″ゆるやかタイプ″もあります。ロカボなら、1日の糖質摂取量目安が130g以下。無理の少ない糖質制限を楽しめるといえるでしょう。
糖質制限レベル別の糖質摂取量については、以下の記事もチェックしてみてください。
基本的に炭水化物は控えることになる
糖質制限ダイエットでは、基本的に炭水化物を控えることになります。炭水化物を多く含む穀類・糖類・イモ類・根菜類などに気をつけて、メニューづくりを行っていくようにしましょう。
便秘によいからとごぼうを好んで食べたり、お肌によいからといって糖分たっぷりの野菜ジュースを毎日飲んだり。サラダなら健康によいからといって、ポテトサラダをたくさん食べたりもNGになります。
カロリー制限・脂質制限はしなくてOK!
三大栄養素のうち、インスリンが脂肪として溜め込んでしまうのは糖質だけ。また、糖質制限ダイエットをすると、不足するカロリー(糖質分)をタンパク質や脂質で補う必要があります。
そのため、細かなカロリー制限・脂質制限はしなくてOK!とくに、糖質が少なくタンパク質の豊富なお肉は積極的な摂取を心がけることがおすすめです。
糖質制限で食べても良い食品・ダメな食品をきちんと理解する
糖質制限をするなら、「糖質制限をしているつもりだった」というミスを起こさないように、食べてもよい食品、ダメな食品(控えたほうがよい食品)をきちんと理解することが大切です。正しい知識を身につけて、コスパ抜群の糖質制限ダイエットを行っていきましょう。
糖質制限で食べてもよい食品 | ダメな食品(控えたほうがよい食品) | |
穀類 | 米・小麦(パスタやパンなど)・もち・
うどん・そば・ビーフン・米こうじ |
|
肉類 | すべて(牛・豚・鶏・カモ・
ウィンナー・ハム・ベーコン) |
|
魚類 | 青魚・白身魚・いくら・
すじこ・かに・えび・たこ |
練り製品(かまぼこ・ちくわ・
魚肉ソーセージなど) |
野菜類 | 青菜類・キャベツ・たけのこ・
ピーマン・たけのこ |
とうもろこし・かぼちゃ・ごぼう・
大根 |
いも類 | こんにゃく・しらたき | さつまいも・じゃがいも・ながいも・
くずきり・はるさめ・タピオカ |
キノコ類 | すべて | |
果物類 | アボカド | りんご・グレープフルーツ・みかん・
バナナ |
卵類 | すべて | |
飲み物 | 水・お茶・酒(焼酎・
ウィスキー・ブランデー・ ウォッカ・ラム・ジン) |
牛乳・ジュース(コーラ・オレンジなど)・
乳酸菌飲料・ 左記以外の酒類(ビール・ 缶入りチューハイなど) |
さらに詳しく、糖質制限中にOK、NGな食材について知りたい方は以下の記事もチェックしてみてください。
糖質制限レシピをマスターしよう
向き不向きの食材を正しく知っても調理法に迷うなら、糖質制限によるダイエットを十分に活かすことは難しくなるといえるでしょう。そのため、糖質制限レシピをマスターしておくことが大切。
朝ごはん、お弁当(昼食)、夕食と糖質制限に適したレシピは意外にたくさんあります。糖質制限食に飽きると挫折のきっかけにもなってしまいやすいため、さまざまなレシピにチャレンジしていきましょう。
また、朝・昼・晩におすすめの糖質制限レシピについては、以下からそれぞれチェックしてみてくださいね。
コンビニは糖質制限に欠かせない存在
ジャンクフードや高カロリーのお弁当が売っているというイメージの強いコンビニ。しかし、糖質制限の大ブームを受けて、糖質制限ダイエットをしている方向けの商品を手軽に購入できる場所にもなってきました。
コンビニの公式サイトを見れば、ホットスナックですら、糖質量表示がされているくらいです。おかず・お菓子・お弁当(ランチ)など、コンビニの低糖質商品や糖質量表示を上手に利用して、ストレスのないダイエットの手助けとしていきましょう。
糖質制限中におすすめのコンビニご飯は、以下の記事からチェックしてみてくださいね。
併せて運動をするのも大切
糖質制限ダイエット中は、無理のない範囲で身体を動かすことも大切です。糖質制限は、いくら不足した糖質を体内の中性脂肪でエネルギー変換するといっても、やはり筋肉の分解が避けられません。
また、糖質不足による基礎代謝の低下も招いてしまいがち。ウォーキングやランニング、筋トレなどで基礎代謝をUPさせ、筋肉を落とさず、痩せやすい身体づくりを目指していきましょう。
糖質制限を正しく理解してダイエットをしよう
糖質制限ダイエットに失敗してしまうのは、間違った知識をもとに頑張りすぎてしまうから。正しい理解のもとに糖質制限すれば、理想の美しいプロポーションを手に入れることができます。やりすぎず、無理をせず、健康的なダイエットを目指していきましょうね!