甘酒は糖質が高い?
甘酒はお米からできているので、糖質制限ダイエットをしている人にとっては糖質量が気になるところ。まずは甘酒の糖質量とカロリーがどのくらいなのか見てみましょう。
糖質は製造方法で異なる
甘酒は米麹と酒粕の2種類があります。この2つは製造方法が異なるもので、味だけでなく糖質も異なるもの。それぞれの100g中の糖質量とカロリーは次の通りです。
糖質 | カロリー | |
米麹 | 17.9g | 81kcal |
酒粕 | 4.7g | 81kcal |
数字だけ見ると、米麹で作られた甘酒の方が糖質量が多いことになります。しかし、酒粕で作る甘酒はそのままでは飲みづらく、通常は砂糖を加えています。そのため、加えた砂糖の糖質も考えなければなりません。砂糖大さじ1杯は9g程度で、加える量によっては酒粕で作る甘酒の方が糖質量が高くなる場合もあります。
米麹と酒粕の違い
米麹と酒粕はどのようなものなのか、その違いを紹介します。
自然な甘さの米麹
米麹は、蒸したお米に麹菌を繁殖させて作られたものです。甘酒のほかに、酒やみりん、味噌なども米麹を使って作られています。
米麹は発酵によってお米のデンプンをブドウ糖やオリゴ糖に変えることで、自然な甘みを作り出しています。そのため、砂糖などを加える必要がないのが特徴。ブドウ糖が多く含まれているため「飲む点滴」とも呼ばれています。米麹で作られた甘酒はアルコール分が一切含まれていないので、アルコールに弱い方や子供も飲むことができます。
ダブル発酵パワーの酒粕
酒粕は、米麹に酵母菌を加えて発酵させたものです。「酒粕」という名前の通り、酒造りの際に出る搾りカスのことで、麹菌と酵母という2つの発酵過程を経ているのが特徴。そのため、さまざまな栄養成分が凝縮されています。
酒粕の甘酒は、酒粕に水や砂糖を加えて作るもの。アルコールが少し含まれているので、アルコールに弱い方は注意が必要です。
甘酒は糖質、カロリーともに高め
米麹の甘酒はもちろん、酒粕の甘酒も砂糖などを加えることで糖質やカロリーが高くなります。その点では、糖質制限ダイエット中は甘酒を控えた方がいいとも言えそうです。
しかし、甘酒は栄養豊富で、ダイエット効果や美容効果もあります。まったく飲まないのはもったいないこと。飲み過ぎを控え、上手に取り入れることでかえってダイエットに役立ちます。具体的にどのような効果があるのか、このあとの項目で紹介しましょう。
甘酒には糖質制限ダイエット効果

ここでは米麹や酒粕に期待できる効果について、専門家の意見も交えて紹介します。
米麹と酒粕に共通の効果
米麹と酒粕はそれぞれ違った効果がありますが、まずは共通の効果を紹介しましょう。
腸内環境を整える
米麹の麹菌は、デンプンを糖に分解する過程でオリゴ糖が作られます。 オリゴ糖は腸内で善玉菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあるもの。腸内環境が良くなることで、便秘解消の効果も期待できます。
また、酒粕にはレジスタントプロテインが含まれています。レジスタントプロテインは食物繊維の一種で、体に吸収されず食事で摂った油分を包んで便として排出する効果があります。

免疫力アップ
体の免疫力の7割は腸で作られていますが、米麹や酒粕の効果で腸内環境が良くなることで免疫力アップも期待できます。免疫力が高くなれば、病原菌やウイルスから体を守ることが可能です。

消化吸収を良くする
米麹や酒粕に使う麹菌は、さまざまな酵素を生み出します。酵素は体内で糖質やタンパク質を分解し、代謝を行う物質。この酵素をたくさん含んだ甘酒を飲むことで、消化吸収が良くなる効果が期待できます。消化が良くなればエネルギー消費も効率良くなり、代謝が上がって痩せやすくなるでしょう。
ビタミンなどの栄養成分が豊富
米麹と酒粕のどちらで作られた甘酒も、栄養成分が豊富に含まれています。タンパク質やビタミンB群、各種ミネラルなどは共通して含まれているので、ダイエットで不足しがちな栄養を補うことができます。
米麹の効果
次に、米麹特有の効果について紹介します。
疲労回復
米麹で作った甘酒は、麹菌がデンプンを分解する過程で生まれるブドウ糖が豊富に含まれています。ブドウ糖は疲労回復に即効性があり、さらに米麹で作った甘酒には疲労回復にいいビタミンB群も多いため、「飲む点滴」と呼ばれています。

酒粕の効果
酒粕だけに見られる効果もあります。
睡眠改善
酒粕はアルコール発酵の過程で清酒酵母という微生物が作られます。この清酒酵母は「アデノシン」という眠気を誘う物質を活性化させる働きがあるとされているもの。夜なかなか寝付けないときは、酒粕の甘酒を試してみるといいでしょう。ただし、アルコールに弱い方は注意してください。

糖質制限ダイエット中に効果的な甘酒の飲み方
ダイエット効果などがあるとはいえ、甘酒は基本的に糖質が高いので飲み過ぎには注意が必要です。さらに工夫することで、糖質制限ダイエットの効果を高めることが可能。ここでは、糖質制限ダイエットに効果的な甘酒の飲み方について紹介しましょう。
酒粕で作る
糖質量で比較すれば、酒粕は圧倒的に糖質量が少なめです。飲みやすくするために加える甘味料を低糖質のものにすることで、糖質オフの甘酒にすることができます。そのため、糖質制限ダイエット中は酒粕を使って手作りをするのいいでしょう。
酒粕を使った甘酒の作り方を紹介します。
酒粕の作り方

画像引用元:クックパッド
材料:約75cc分
- 水:100ml
- 酒粕:25g
- ラカントS:大さじ1(約13g)
(カロリー:80kcal、糖質:4.7g、値段40円)
作り方
- 酒粕は小さくちぎり、すべての材料を鍋に入れる
- 弱火で酒粕を溶かして完成
酒粕は弱火でゆっくりと溶かすのがポイントです。ラカントを使うので糖質は少なめですが、飲み過ぎれば糖質オーバーになるので注意してください。
参考:クックパッド
豆乳を混ぜる
甘酒に豆乳を同量混ぜて飲むのもおすすめです。糖質制限ダイエット中は糖質を控える代わりにタンパク質を多く摂ることが大切ですが、豆乳を混ぜることで良質の植物性タンパク質を摂ることができます。
間食にする
米麹の甘酒にはブドウ糖が多く、血糖値を上げる作用があります。血糖値が上がると満腹中枢が刺激され、満腹感を感じるようになるもの。間食として飲むことで空腹感がなくなり、うっかりお菓子を食べてしまうのを防ぐことができます。
甘酒にはこんな種類もある
米麹の甘酒は、原料に使う米の種類や麹菌の違いによって、いくつかの種類があります。含まれている栄養の種類も異なるので、いろいろ試してみるのもおすすめです。
ビタミン豊富な玄米甘酒
玄米を使った甘酒は、玄米と米麹を使って発酵させたものと、玄米と玄米麹を使って発酵させたものの2種類があります。白米で作った甘酒よりもビタミン・ミネラルや食物繊維が豊富。抗酸化作用のあるフェルラ酸や美容効果のあるアルブチンなど、白米にはない玄米特有の栄養も含まれています。味わいにコクがあり、飲んだあとの満足感も高いのが特徴です。
健康効果が期待できる古代米甘酒
古代米を原料にした甘酒もあります。古代米は稲の原種である野生稲の特徴を受け継いでいるお米で、赤米や黒米などがあります。品種改良の対象にならず、一部の地域で栽培されているものです。
古代米は白米や玄米に比べて栄養成分が多く、健康効果の高い色素成分のポリフェノールも含まれています。
ピンク色が美しい紅麹甘酒
紅麹を使って発酵させた甘酒もあります。紅麹は中国で古くから漢方薬としても珍重されてきたもの。淡いピンク色が美しい甘酒です。コレステロール値を下げるモナコリンという成分や自律神経のバランスをとるGABAが含まれていることから、コレステロールが気になる方、日ごろストレスの多い方におすすめです。
疲労回復に良い黒麹甘酒
焼酎や泡盛を造る黒麹を使った甘酒です。黒麹はクエン酸を分泌するもので、お米の優しい甘さとクエン酸の酸味がバランスの良い味わい。酸味があるので、冷やして飲むのがおすすめです。クエン酸は疲労回復効果があるので、夏の熱中症対策などに向いています。
専門家おすすめ!糖質制限ダイエットでも甘酒が飲めるレシピ

この項目では、甘酒を使った専門家おすすめのレシピを紹介します。
いちごムース

画像引用元:クックパッド
材料:3個分
- いちご:1パック
- 甘酒(砂糖不使用):大さじ2
- レモン汁:大さじ2
- 生クリーム:1/2カップ
- ゼラチン:5g
(カロリー1人分:200kcal・糖質量:8.0g・値段:200円)
作り方
- いちごは洗ってヘタを取り、600wの電子レンジで3分加熱する
- ①の粗熱が取れたら飾りの分のいちごだけ残し、ミキサーにかける
- ゼラチンは水大さじ3を加え、電子レンジで30秒加熱して溶かしておく
- ②に③とレモン汁、甘酒大さじ1を入れよく混ぜる
- 別のボウルに生クリームを入れて泡立て、残りの甘酒を入れてよく混ぜる
- ④を⑤と混ぜる。④は少し残しておく
- ⑥を型に流して冷蔵庫で冷やし、固まってから残しておいた④を入れる
- いちごを飾ってできあがり
おすすめポイント
砂糖を使わない米麹の甘酒で作るムースです。お好みでミントなどを添えれば彩りが良くなるので、おすすめです。

参考:クックパッド
抹茶と甘酒のおからケーキ

画像引用元:クックパッド
材料:18cmタルト型1個分
- ☆おからパウダー:50g
- ☆アーモンドプードル(米粉でも可):50g
- ☆抹茶:8g
- ★水:1カップ
- ★白味噌:大さじ1
- ★甘酒:大さじ4
- ベーキングパウダー:小さじ1
(カロリー1ホール:620kcal・糖質量:20g・値段:650円)
作り方
- オーブンを170度に余熱する
- ☆と★をそれぞれ混ぜてから、すべて合わせて混ぜる
- さらにベーキングパウダーを加える
- クッキングシートを敷いた型に流し入れ、オーブンで25分焼いたら完成
おすすめポイント
抹茶が濃厚でしっとりしたケーキです。卵、砂糖、小麦粉、油なしの低糖質で、甘酒の栄養が摂れるヘルシーなおやつになります。卵を入れても作れますが、その際は水分量を調節しましょう。

参考:クックパッド
高野豆腐のフレンチトースト

画像引用元:クックパッド
材料:1皿分
- 高野豆腐:2枚(16g×2枚)
- 米麹由来の無糖の甘酒:90cc
- 無調整豆乳:50cc
- バター:8g
- 卵:1個
- メープルシロップ:お好みで
(カロリー1皿分:430kcal・糖質量:18g・値段:300円)
作り方
- 高野豆腐を湯に浸けるかお湯で数十秒洗い、中心部まで柔らかくする
- 高野豆腐を優しく握って水分を抜き、一口大に小さくカットする
- 一口サイズの高野豆腐を使用してもOK
- 甘酒と卵を混ぜ合わせ、高野豆腐を加えて液を吸わせる
- 袋の中で合わせ、袋を優しく揉んでも可
- フライパンにバターを溶かし、良い香りがしたら高野豆腐を入れて中火で焼く
- 蓋はせず、高野豆腐は触らないようにする
- 水分が飛んで好みの焼き加減になったら裏返す
- 両面焼けたら皿に盛る
- 盛り付けて、お好みでメープルシロップやホイップクリームを添える
おすすめポイント
高野豆腐はタンパク質などの栄養豊富で、甘酒とともにたくさんの栄養が摂れるレシピです。高野豆腐を中心部まで柔らかく戻して水気をしっかり絞り、小さくカットするのがポイント。卵は白身をよく溶くのが美味しく作るコツです。

参考:クックパッド
甘酒と豆乳おからパウダーの卵焼き

画像引用元:クックパッド
材料:1人分
- 卵:2個
- 甘酒(米麹):大さじ2
- 豆乳おからパウダー:大さじ1
- オリーブオイル:適量
(カロリー1人分:280kcal・糖質量:2.8g・値段:150円)
作り方
- 材料をすべてボウルに入れ、よくかき混ぜる
- フライパンを熱し、弱火で焼く
おすすめポイント
甘酒の栄養と、糖質制限ダイエット中に必要なタンパク質がしっかり摂れるレシピです。おからパウダーを使うことでふんわり焼きあがります。焦げ目をつけないため、弱火で焼きましょう。

参考:クックパッド
おくらと納豆とひじきの甘酒和え

画像引用元:クックパッド
材料:2人分
- 納豆:1パック
- オクラ:3本
- ひじき水煮:10g
- ○ホールトマト缶:大さじ1
- ○甘酒:小さじ1
- ○醤油:小さじ1
- ○すりごま:小さじ1
(カロリー1人分:90kcal・糖質量:1.8g・値段:70円)
作り方
- オクラは塩茹でし、粗みじん切りにする
- ①と納豆、ひじき、○をすべて合わせたらできあがり
おすすめポイント
ネバネバがやみつきになる、あっさりと美味しい和え物です。食物繊維がたっぷり摂れます。甘酒の甘さが美味しさのポイント。長芋を加えるのもおすすめです。トマトの代わりに梅や酢にしても美味しく食べられますよ。

参考:クックパッド
まとめ
甘酒は糖質高めですが栄養豊富で、ダイエット効果も期待できる優秀な飲み物です。飲み過ぎに気をつければ、糖質制限ダイエットの助けにもなります。おすすめは酒粕と低糖質の甘味料で手作りすること。食物繊維を補い、糖質制限ダイエット中にありがちな便秘を予防することができます。専門家おすすめのレシピも参考に、甘酒を上手に取り入れて糖質制限ダイエットを成功させてください!