バリバラが紹介した「感動ポルノ」
冒頭のように司会者の山本シュウさんが勢いよくスタートした『バリバラ』。「愛は地球を救う」の『24時間テレビ』に対し、「笑いは地球を救う」と書かれた黄色いTシャツを着用した出演者。明らかに意識した演出でした。
オープニングトークを終えると、骨形成不全症を抱えたコメディアン・ジャーナリストのステラ・ヤングさんがTEDで行った演説を紹介します。
『バリバラ』は、感動ポルノの具体例として、「大変な日常」「過去の栄光」「悲劇」「仲間の支え」「いつでもポジティブ」の5つの要素を映し出すドラマを紹介。
「感動ポルノ」というステラさんの言葉は、善意や思いやりを否定する冷笑的なものではない。障害者を差別するな、と語っているだけです。
『障害者は「感動ポルノ」として健常者に消費される–難病を患うコメディアンが語った”本当の障害”とは』 https://t.co/un7PiV2mQJ
— きづのぶお (@jucnag) 2016年8月29日
さらに「感動的な番組をどう思う?」とのアンケート(n=100)で、9割の障害者が「嫌い」と回答したデータを提示。問題の本質にテンポ良く切り込んでいく『バリバラ』には賞賛の声が寄せられます。
24時間テレビの真裏で、「障害者×感動」を感動ポルノと呼ぶNHK Eテレが最高にロックだ
— c´・e・) (@radykhm) 2016年8月28日
障害者=感動を作るネタのことを感動ポルノというらしい。24時間TVの裏でこのテーマをやっているとはNHKなかなかである。#nhk_baribara #バリバラ
— 松原 守 (@matsubara_m) 2016年8月28日
「24時間テレビが悪いわけではない、社会が変わらなければならない」
番組内で脳性まひを抱え『バリバラ』のコメンテーターを務める玉木幸則さんが、「一緒に怒ったり、一緒に笑ったりする、思いを重ねていくっていうことが、実はホンマの感動なんと違うかな」と語ったように「乗り越えるべき障害は体や病気ではなく社会」の主張を30分で伝えようと試みた『バリバラ』。
『24時間テレビ』に対抗した企画と思われましたが、意図は違ったよう。終わりに差し掛かる頃、象徴する質問が投げかけられました。
「最後に一つだけ皆さんに確認したいと思いますよ~。ここにいらっしゃる皆さん、裏の番組からオファーを受けたら出るという方、手を挙げてください」
「裏の番組からオファー受けたら出る人!」「うぉ〜い!(全員挙手)」 #バリバラ #Eテレ
— 高橋美紀/(1ライン) (@onelongline) 2016年8月28日
バリバラ見た。
グレースのVTRと、画面後ろにいる麻痺の方のカッパがウケた!!印象的だったのは番組最後に
二十四時間からオファーあったら
出演したいと全員が挙手していたこと。ほんと、そうなったら、とってもいいのに!!
— gracy watabiee (@gracy0307) 2016年8月29日
出演陣は、全員挙手。『バリバラ』は『24時間テレビ』を批判するのではなく、むしろ敬意を払い、障害者を感動ポルノではなく1人の人間として認識する社会を、一緒につくりたいとの姿勢を示し、番組を終えました。
自らの障害をお笑いに変えることができる人もいる一方で、障害を受け入れることも、さらには障害を認識することすらできない人もいる。障害の程度も様々なら障碍者のメンタリティも様々だ。だから24時間テレビもバリバラも、どちらも必要だと思う。むしろまだ足りないぐらいではないだろうか。
— 黒川 巌 (@iwao96) 2016年8月29日
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