ランニングと呼吸の関係
間違った呼吸法で走ると、すぐに息が上がり疲れてしまいます。疲れにくい状態を維持しながら長い距離を走るためには、正しい呼吸法を心がけることがポイントとなります。ランニングと呼吸の関係についてまとめました。
間違った呼吸法は早く疲れる
ランニングは、有酸素運動を代表するスポーツの1つです。酸素を上手に取り込む呼吸法を身につけることで、呼吸が乱れず疲れにくくなります。
間違った呼吸法では、呼吸がすぐに乱れて苦しくなり、酸素を肺に取り込むことができなくなります。肺から筋肉に送られる酸素が不足すれば、二酸化炭素が溜まりやすくなり、早く疲れがちです。呼吸法をトレーニングすれば、ランニングの終盤でも呼吸が苦しくなることはないでしょう。
正しい呼吸法で走る距離が伸ばせる
呼吸を意識して走っているつもりなのに、すぐにばててしまうという経験はないでしょうか。間違った呼吸法でランニングすると、早い段階で呼吸が乱れ、息も上がって苦しくなります。
酸素を吸うことばかり意識していると、かえって酸素が肺に入りにくくなることもあるでしょう。正しい呼吸法を身につけると、リズムを崩さずに同じペースで呼吸ができるようになります。息が上がることが少なく、疲れにくくなるので走る距離を伸ばすことができるでしょう。
正しい呼吸法は筋肉を効率的に鍛える
ランニングは、筋トレのように瞬時にエネルギーを燃焼する運動ではありません。長い時間をかけて、一定のリズムで酸素を送りながら筋肉を動かすことができます。そのため、正しい呼吸法でランニングを行うことで、効率的に筋肉を鍛えることができます。
ランニングの正しい呼吸法
普段の呼吸とランニングの呼吸は同じではありません。正しい呼吸法でランニングすると、呼吸が楽になり疲れにくくなります。呼吸法や呼吸法のポイントなど、ランニングの正しい呼吸法のポイントをみてみましょう。
腹式呼吸が基本
ランニングをしていて息が苦しくなる原因の1つには、呼吸が浅くなっていることが考えられます。胸や肩を動かして呼吸する胸式呼吸は、呼吸が浅くなりやすくなります。また、酸素が思うように取り込めず、呼吸が乱れがちになるのも特徴の1つです。
横隔膜を意識して上下させる腹式呼吸は、胸式呼吸よりも肺に酸素を多く取り込むことができるとともに呼吸が楽になります。ランニングの際は、息を吸う際にお腹を膨らませ、吐くときにへこませる腹式呼吸を基本にするといいでしょう。
二回吸って二回吐く
普段意識せずに呼吸しているときは、1回吸って1回吐くのが普通です。しかし、ランニングでは、2回吸って2回吐く「スッスッハッハッ」が基本となります。
走りながら1回の呼吸では、肺に酸素をたっぷりと送りこむことは難しいです。また、しっかりと吐かないと酸素を取り入れることができません。1回目と2回目を明確に区切るのではなく、自然に続けて行うことがポイントとなります。
空気は鼻で吸う
普段の呼吸は、口を開けずに鼻だけで呼吸しています。ランニングの際には息が苦しくなることから、大きく口を開けて息を吸い込んだ方が良いと誤解している人が少なくありません。
ランニングの際の呼吸は、鼻から吸って口から吐き出すのが基本です。鼻から吸うことで、腹式呼吸になりやすくなります。また、体温に近い温度で酸素を肺に届けることができるとともに、のどの乾燥を防ぐこともできるでしょう。
吐く息を意識することで呼吸がスムーズ
ランニングの呼吸では、できるだけたくさん酸素を取り込もうと吸うことに意識が集中しがちです。しかし、実際には、吐く息である呼気だけを意識することで呼吸がスムーズになります。
しっかり息を吐き切れば、吸おうとしなくても自然に酸素は入ってきます。吸うことだけを意識すると体に力が入り、呼吸が乱れる原因にもなります。呼吸が乱れてきたと思ったときは、しっかりと息を吐くことを意識してみましょう。
ランニングの呼吸で意識すること
ランニングでは、なるべく楽に呼吸をすることが大切です。呼吸を乱さないためには、姿勢や脱力、呼吸筋やストレッチや拍数と呼吸回数の関係などがポイントとなります。ランニングの呼吸で意識すべきことをまとめました。
呼吸が乱れるので前のめりにならない
走り方の癖は人それぞれにあるもので、前傾姿勢で走る人も少なくありません。前方に進む勢いがつきそうで少しでも速く走るために効果があるという人もいるでしょう。しかし、前のめりになることで、肺が圧迫され十分に酸素を取り込むことができなくなります。
一定のリズムで呼吸を刻めなくなることにもつながるでしょう。特にランニング初心者は、前のめりで走らないようにすることが大切です。
呼吸が浅くなるので全身に力を入れない
緊張して体がこわばると呼吸が浅くなります。酸素を十分に取り入れることができなくなり、何もしなくても呼吸が苦しくなることもあるでしょう。ランニングではかなり体力を消耗します。
体に力がはいることで呼吸が浅くなるとペースが落ちるだけでなく、呼吸することすら苦しくなります。肩をはじめとして上半身に力が入りがちになるため、無駄な力を抜いて呼吸を楽にするようにしましょう。
呼吸筋のストレッチをしておく
呼吸するのに必要となる呼吸筋には「吸息筋」「呼息筋」の2つがあります。吸息筋は息を吸うために胸郭を膨らませる働きがあり、呼息筋は息を吐くために胸郭を縮ませる働きがあります。
呼吸に関わるこの2つの筋肉のストレッチを行うことで筋肉の弾力性を貯めることができ、呼吸がしやすくなります。呼吸筋は胸や背中にあるため、吸うとき、吐くときの両方で筋肉を伸ばすようにすることがポイントとなります。ランニング前にしておくと呼吸が乱れにくくなるでしょう。
心拍数と呼吸回数を合わせると疲れにくい
人間の体は、呼吸が速くなると心拍数も上がる仕組みとなっています。呼吸で取り込まれた酸素は、血液を媒体として筋肉をはじめ体の隅々に届けられます。
筋肉からは二酸化炭素が排出されて、心臓の動きによって肺まで運ばれて吐き出されるという繰り返しです。ランニングなど運動強度が上がると、筋肉で排出される二酸化炭素の量が増加することで心拍数も上がります。心拍数と呼吸回数にギャップが生じないように合わせることで疲れにくくなります。
動画を参考に正しい呼吸法を試してみよう
ランニングの正しい呼吸法は、頭で理解していても実践できなければ改善につながりません。ランニング中の正しい呼吸法のポイントやコツ、ランニングを楽にする呼吸法を動画でわかりやすく紹介します。
ランニング中の呼吸のやり方
ランニングの呼吸法で一般的なのは、2回吸って2回吐くというスタイルです。しかし、ランナー全てがこの呼吸法を実践しているわけではなく、より自然な呼吸の方が走りやすいという人もいます。
大切なポイントは、吸うことではなく吐くことを意識することです。息が苦しくなって吸おうとすると上半身が硬くなって走りづらくなります。深呼吸のようにしっかりと吐き切ることで、息は自然に入ってきます。
ランニングがラクになる
ランニングの際には、前進する推進力を得るために、腕をよく振ることを意識することがあります。しかし、脇を開けて腕を振ると体の重心がぶれてしまいます。また、無駄なエネルギーを消費してしまうため、エコな走りにはなりません。
手のひらは、下に向けるよりも上に向けた方が脇が閉まりやすくなります。ギュッと力をいれて手を握ると上半身が硬くなるので、卵をもつイメージで優しく握るようにして走るようにしましょう。そうすることで、胸椎を回旋しながら楽に走ることができます。
正しい呼吸のための姿勢
ランニングをしながら正しい呼吸をするためには、姿勢に注意する必要があります。体幹を安定させてまっすぐな姿勢を維持しているつもりでも、肩甲骨周辺や胸筋が硬くなったり、肩が前に出て猫背のような姿勢になったりすると、呼吸がしづらくなります。
上半身に力が入ったり、前のめりの姿勢になったりすると肺にたくさんの酸素を取り入れることができません。ランニングをする前に、腹式呼吸を基本とした深呼吸エクササイズをすることで、良い姿勢でしっかりと呼吸ができるようになります。
ランニングの呼吸のコツ
ランニングで正しい呼吸法を心がける際には、目線にも注意する必要があります。目線を下に落として走ると、猫背になり肺を圧迫して息が入りにくくなります。逆に上を向き過ぎると重心が後ろにずれて走りにくくなるので注意が必要です。
走る際には10~20m先を見るようなイメージで、顔の角度を変えないようにすると呼吸も楽になるでしょう。腹式呼吸をベースとして、横隔膜を使ってしっかりと息を吐くことを意識すると、楽に呼吸をしながら走ることができます。
疲れにくい体を作る呼吸法
ランニングで疲れにくい体をつくるためには、人間が生命維持のために最重要な活動である呼吸に目をむける必要があります。まず、肺の正常な機能を取り戻し、それから正しい呼吸の習慣を身につけることが大切です。
胸郭ストレッチをすることで肺が広がり、普通に呼吸をしても息が入りやすくなることが実感できるでしょう。ストレッチを重ねながら腹式呼吸を基本として呼吸法をトレーニングすれば、疲れにくい体をつくることができます。
まとめ
ランニングでは普段とは異なる呼吸をしないと、すぐに意気が上がって苦しくなります。2回吸って2回吐く呼吸法、腹式呼吸など、ランニングに適した正しい呼吸法を身につければ、楽な呼吸で疲れにくいランニングを楽しむことができます。動画などを参考に正しい呼吸法をマスターして、快適な走りを楽しみませんか。